生活環境激変に対する危機感が外部との連携を加速

今年1月米ラスベガスで開催された世界最大級のエレクトロニクス見本市「CES2020」でグローバル企業のソニーは「スマホをクルマにしたらどうなるか」という発想で生まれたコンセプトカーを発表した。自動車の自動運転化が進みAIが車をコントロールするようになるとGAFAなどのIT企業が人の移動を支配し、自動車会社の存在意義そのものが問われるようになる。大手メーカーのトップは、これを化粧品業界に当てはめ、「化粧品自体の在り方もこれまでとは変化して美容業界も自動車業界と同じような状況になりかねない」という危機感を示し、オープンイノベーションの必要性を強調する。

オープンイノベーションとは、企業が自社のリソースのみならず、他社や研究機関などの外部組織や専門家などから技術やアイデアを募り、異分野の知見を積極的に取り入れることによってイノベーションを図る方法論だ。化粧品業界では欧米企業が先行し、P&Gは、2000年に、イノベーションの半分を社外調達するという目標を掲げる事業「コネクト・アンド・デベロップメント」をいち早く立ち上げた。技術開発を外部に公募し、自社の革新的な製品開発に生かすことを目的とするこの取り組みによりR&D効率が劇的に改善した。P&G以外にも、ロレアルやユニリーバなどがオープンイノベーションを推進している。13年には欧州が(多くの企業が連携しながら実現する)オープンイノベーション2.0を導入し、世界全体に発信し始めたことにより、世界各地でオープンイノベーションの熱が高まっていった。自社内だけに閉じた状態でノウハウ蓄積や製品開発を行っていく時代では、もはやなくなっている。

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