日本の化粧品産業が2016年に出超産業へと転換した大きな理由に、日本製化粧品の中国での人気の爆発的な高まりがあるだろう。中国人観光客が免税店で化粧品を爆買いする姿は、すっかり銀座の風景として定着した感がある。しかし、今年1月の中国EC法の施行を境に、代購の勢いに陰りが見え始めている。と同時に今、越境ECに依存しないビジネスモデルを確立すべく、化粧品会社は一般貿易での中国市場への輸出・販売体制を構築しようとする動きを強めている。

さらに、中国資本はいま、メイドインジャパンの化粧品を自ら作り出そうと、日本への参入機会を模索しており、日本の化粧品企業やOEMメーカーへの出資や買収を目論む投資家もいる。ゼロから作り上げるには、日本の化粧文化や消費者トレンドを把握しなければならないし、流通などの取引先と信頼を築き上げる難しさも知っているからであろう。

そのような中で、中国人経営者がゼロから日本でオリジナルブランドをつくり上げ、成功しているのが花印粧業研究所である。08年の創業ながら、今や中国市場では350アイテムを販売し、売上高は380億円。日本でも50アイテムを展開し、売上高は5億円にまで拡大している。

同社の成長は、単に日本市場での爆買い、中国市場での日本ブランド人気という時流を捉えたからだけではない。中国では、ECという安易な空中戦に頼らず、リアル店舗での地道なマーケティングで売り上げを拡大。日本ブランドとしての地位を不動のものにしている。また、日本においても、まだ業界がインバウンドで沸く前の08年に商標登録。目先の利益を追い求めず、低価格高品質による顧客満足を徹底的に追求してきた。日本化粧品工業連合会や東京商工会議所にも加盟し、日本人の従業員による日本式経営モデルにもこだわっている。

そのような姿勢が支持されてか、化粧品・美容の総合サイト「アットコスメ」で同社製品は何度もクチコミランキング1位を獲得しており、日本市場でも花印ブランドの人気は定着している。そこで今回、同社の王奥廷社長に、今日までの道のりと中国市場での成長の背景、今後のブランド育成などについて、話をうかがった。

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