花王は、「インクジェット用水性インクによる軟包装フィルムへの印刷の実現」で、公益社団法人新化学技術推進協会の第18回「グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞 経済産業大臣賞」を受賞。今回の表彰式および受賞講演は、6月24日にJACI/GSCシンポジウム(東京国際フォーラム)にて行われる。
GSC賞とは、GSC(Green&Sustainable Chemistry、人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学)の推進に貢献する優れた業績が表彰されるもので、その中でも経済産業大臣賞は産業技術の発展に貢献した取り組みが選定される。
従来、軟包装用フィルム印刷では乾燥が早く高品質な印刷が可能な有機溶剤(VOC:揮発性有機化合物)を使用した油性インクが使われてきた。この場合、印刷工程中で排出されるVOC量が多くなり、労働作業環境と地球環境での負荷が問題となる。
花王はこの課題に対し、2016年3月に軟包装用フィルムに印刷可能なVOCレス設計のインクジェット用水性インク「LUNAJET(ルナジェット)」を開発。産業印刷用途のインク市場に対して環境負荷低減という新たな価値提案を行い、18年には同インクが大手食品メーカーブルボンの菓子パッケージに採用されたことで、大きな反響を得ている。
同社はこれまでにも第9回(2009年度)「亜臨界水を応用した低環境負荷な界面活性剤合成プロセスの実用化」、第12回(2012年度)「サステイナブル社会を先駆けた新しいお洗濯提案」、第16回(2016年度)「紙ベース鋳造用湯道管の開発」でそれぞれ経済産業大臣賞を受賞しており、今回で4回目の受賞となる。