ECとの差別化に不可欠なリアル店舗ならではの買い物体験

多くの消費者が常にインターネットにアクセスしている現代。電子商取引(EC)が浸透し、IoTの波が小売業界に押し寄せている。EC化率で先を行く米国では小売店舗の閉店が急速に進行しており、2017年発行のクレディ・スイスのレポートでは、17年の米国における店舗閉鎖数は8640店舗で過去最高に上ること、米国のショッピングモールの20〜25%が22年までに閉鎖されると見通している。一方で、消費者が続々来店する小売店舗もある。例えば、アマゾン・ゴー。レジなしスーパーとして18年に1号店をオープン以降、急速に店舗を拡大、21年までに3000店舗を開設する計画だ[Bloomberg (9/20/2018) Spencer Soper report]。

日本においても、EC市場は拡大の一途にある。経済産業省の報告によると、物販分野のEC市場(BtoC)は17年8兆6008億円(前年比5964億円増)、特にスマートフォン経由市場の伸びは著しく4531億円増の3兆90億円となっている[「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」経済産業省]。このECによる市場侵食の影響を最も受ける小売業態はドラッグストアであろう。「ドラッグストアで売っているもので、インターネットで買えないものはない」と言われるほど、取り扱い商材が重複している業態である上、今やネットも注文時間によっては即日配送も可能と利便性でも互角の勝負。ECによる購入年齢層も着実に広がっているからだ。先の経産省の調査では、ドラッグストアの利益商材である化粧品・医薬品カテゴリーのEC市場規模は前年比7.6%増の5670億円で、EC化率が2桁を超える家電(30.18%)、書籍・音楽ソフト(26.35%)、事務用品・文房具(37.38%)、雑貨・インテリア・家具(20.40%)に比べるとEC化率は5.27%と低いが、その分、これからの伸び代が大きいカテゴリーといえる。物販分野のEC市場を牽引しているのは女性であり、スマートフォン経由で手軽に購入する傾向も増えていることや、14年6月の薬事法改正により一般用医薬品のネット販売が解禁されたこともあり、化粧品・医薬品のEC市場での増加額はダイレクトにドラッグストア市場を侵食する可能性が高い。

この続きは会員の方のみご覧いただけます。