ディスカウントストア「トライアル」を展開するトライアルカンパニー(福岡県福岡市)は、ITを活用し生産性向上とマーケティング機能強化に取り組むスマートストア「トライアルQuick大野城店」(福岡県大野城市)を12月13日、オープンした。

同店の特徴の一つは、レジの無人化だ。カートについたレジ機能を使い、お客自身が商品をスキャンして決済するレジカート、セルフレジ、スマホアプリでの決済を導入、レジの完全セルフサービス化を実現した。

購入する商品をスキャンしてレジカートに入れ、プリペイドカードで決済すればレジを通らずに店を出られる

また、全商品に電子棚札を導入。競合の動向や過去の販売データに基づき価格を変更するダイナミックプライシングを本部がまとめて実施できる仕組みを導入。さらにプリペイド型の顧客カードで入出店を管理することで、夜間の無人化も実現した。現状、酒の販売管理から店員1名が常駐するが、理論上、無人運営は可能だという。

夜間の入退店をプリペイドカードでコントロールすることで夜間の無人運営を可能にした

こうした省力化の取り組みにより、同店は従来型の店舗に比べ人時の4割削減を可能にしている。

もう一つ、大野城店の特徴は、カメラを活用したマーケティング機能強化だ。売り場全体に配置された200台の自社開発カメラでお客の動線を読み取りデータ化。さらに、冷蔵ショーケースにはパナソニック製の2種類の機能の異なるカメラを設置し、棚の商品の動きと、商品を選ぶお客の年齢や性別、動線をデータとして収集する。これらをもとに、より効果的な棚割りを検討するほか、お客ごとの買い物履歴と組み合わせ、デジタルサイネージやレジカート、スマホと連動させた販促策も導入する方針だ。

売り場についた2つのカメラでお客情報と商品の動きのデータを収集。蓄積したデータを棚割りや販促に生かす

同社では、これまで大型のスーパーセンターを中心に出店してきたが、大野城店は、286坪の小型店。スーパーセンターは、出店投資も大きく、立地も限られることから、今後は小型のQuick業態の出店に力を入れる方針で、楢木野仁司会長は、「来年は、九州北部を中心に10~20店舗、最終的には年間に50~100店舗の幅で、全国にドミナントを形成しながら出していきたい」と、意欲を示した。また、自社出店に加え、他の小売業にもQuick業態のシステムを販売する方針で、これにより「業界全体の生産性向上を図る」(楢木野会長)構えだ。