日本初の肌トクホ。オルビスは19年1月1日、肌トクホサプリメント「オルビス ディフェンセラ」を発売する。ポーラ・オルビスグループの研究を担うポーラ化成工業が10年の歳月をかけて開発。ヒト有効性、作用機序、関与成分の品質分析、安全性などの科学的根拠を示して、国の審査のもとに消費者庁の許可を受けた日本で唯一(18年10月3日時点)の「特定保健用食品(トクホ)」である(申請までに6年、審査に4年)。
ポーラ化成工業の平河聡フロンティア研究所主任研究員は、11月1日に開いた発表会で「全身の肌を根本から変える。これまでにないスキンケアの挑戦」と説明した。玄米1トンからわずか約2gしかとれない希少性の高いグルコシルセラミドにより、インナー アクアバリアを形成し、肌の水分を逃がしにくくすることで、透明感とうるおいに満ちた肌へと導く仕組み。従来の化粧品でのケアにとどまらない、新しいスキンケアアイテムとして、乾燥肌に悩む生活者にとって新たな選択肢となる。「24時間、全身にローションを塗り続ける効果が期待できる」(平河主任研究員)という自信作だ。同社の小林琢磨社長は次のように話す。
「日本で初めての肌トクホ、ディフェンセラは、10年におよぶ研究開発の成果。かけた歳月も、投資も、そこに賭ける私たちの思いも、化粧品メーカーの我々が投じるリソースとしては、従来の美容食品やサプリメントの概念ではありません。これはスキンケアそのものでして、これからのオルビスの顔となる商品の一つになる。トクホは国の認可が必要なもの。自らの企業の判断で行う機能性食品とは、根本的に違うものです。肌への効果を唄えるディフェンセラは、従来の化粧品と食品の境目をなくす、スキンケアの新たな形となる商品である。10月23日に発売したオルビスユーとともに、進化したスキンケアの価値を提供できる商品だと確信しています。オルビス、そしてポーラ・オルビスグループとして大きな研究の成果として、アジア市場、中国市場にも打ち出していく戦略的な商品です」
「ディフェンセラ」の発売は、ポーラ・オルビスグループの戦略の視点が変わったことも示唆している。これまでであれば、10年の歳月をかけてつくった画期的な技術は、グループの主力企業ポーラに投入することが暗黙の了解だった。しかし、ブランドビジネスへの転換、アジア市場での成長が喫緊の課題で、ビジネスモデルの改革に取り組んでいるオルビスに最新技術を投入したことは、改革をグループ全体の課題として取り組んでいることを物語っている。ポーラ化成工業の末延則子取締役執行役員(研究・企画担当)がポーラ・オルビスホールディングスの執行役員(グループ研究・薬事センター担当)を兼務した効果が研究成果の全体最適化として現れている。
一方、発表会では、中国のアリババグループが運営する越境ECプラットフォーム「天猫国際(Tmall Global、以下天猫国際)」と戦略提携し、2019年2月から「オルビス ディフェンセラ」を天猫国際で販売すると発表。天猫国際がもつ広告媒体やビッグデータを活用し、販売戦略を両社で立案・実行する考え。初年度売上10億円を目指す。そして19年9月には、オルビス・ユーの販売もスタート。19年11月11日の独身の日に向け、オルビスの中国戦略は一気に加速することになる。
「中国のお客様の美容意識の高まりは著しく、アジアをリードする存在になっている。オルビスは本気で、中国の消費者、お客様に価値を提供できるプロダクトを投入し、中国でのプレゼンス拡大に挑戦する。そのパートナーとして、阿里巴巴と戦略的提携を結んだ。越境ECを通じてダイレクトに市場にインパクトを与える。インナースキンケアのカテゴリーそのものを盛り上げていけると考えている。これはオルビスへの中国への本気度を示すものだ」(小林琢磨社長)