コーセーは2018年10月10日午前10時、グローバルスキンケアブランド「雪肌精」を通じて青い地球を守る「SAVE the BLUE」プロジェクト初の冬期キャンペーンとともに、冬のアンバサダーとして岩田剛典氏を起用すると発表した。同氏はEXILE/三代目 J Soul Brothersのパフォーマーとして活動しつつ、「第40回日本アカデミー賞」新人賞・話題賞を受賞するなど、俳優としても存在感を発揮。幅広い年齢層にファンを抱え、CM&ドラマ出演など多方面で活躍している。アンバサダー就任を機に、コーセーが力を入れる「SAVE the BLUE」プロジェクトの認知が広がるのは間違いない。

雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクト

09年にスタートした「SAVE the BLUE」プロジェクトは、コーセーの企業メッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ」を象徴する取り組み。毎年夏期(7月1日〜8月31日)に行う「雪肌精」キャンペーンを通じて沖縄のサンゴ保全活動を支援している。消費者が雪肌精シリーズ(キャンペーン対象商品)を購入すると、容器の底面積分(化粧水レギュラーサイズで4センチメートル×5センチメートル=20平方センチメートル)に相当するサンゴ植樹費用を寄付する仕組み。18年夏までの過去10年間の累計植え付け本数は1万5959本(25メートル公認プールの約25.8倍)に達している。

「SAVE the BLUE」によるサンゴ植樹が行われている沖縄の海

さらに16年夏、「SAVE the BLUE」プロジェクトで植えたサンゴのなかから、海水温の上昇の影響でサンゴの死滅につながる白化現象を起こさない「耐性サンゴ」が誕生。地球温暖化が進み、世界各地のサンゴ礁で白化現象が確認されるなかでの「耐性サンゴ」の発見は、世界中のメディアが「奇跡」と報道した。白化することなく、卵を産むサンゴ誕生に一役買った「SAVE the BLUE」プロジェクトは、壊滅の危機に瀕するサンゴ礁の保全に取り組む世界中の関係者に勇気を与えたといえる。

「SAVE the BLUE」ロゴマーク

そして18年冬、「SAVE the BLUE」プロジェクトは次のステップに進む。これまでの夏期のサンゴ保全に加え、冬期の取り組みとして、環境教育、森づくり、自然環境保全を行うNPO法人「森は海の恋人」と連携し、東北エリアの森林保全に動く。同法人は、豊かな生態系をもつ里山を維持管理することで、自然環境を良好な状態に保ち、川を通じてつながる海の環境の保全を目指している。

18年12月1日から19年1月31日まで行われる「SAVE the BLUE 冬のキャンペーン」では、期間中に購入された「雪肌精」シリーズ・キャンペーン対象商品の容器の底面積分を植樹費用として「森は海の恋人」に寄付する。森から海、海から森。文字通り「SAVE the BLUE」プロジェクトは、自然の循環すなわち青い地球を守る活動へと進化する。

岩田剛典氏(EXILE/三代目 J Soul Brothers)が「SAVE The BLUE」のアンバサダーに就任

しかも、岩田剛典氏を起用するのは、コーセーの環境保全活動への本気度を示している。地球環境問題は一朝一夕で解決するものではない。地道な啓蒙活動を続け、環境意識を醸成。次の世代へと引き継ぎ、問題解決への取り組みを継続することが不可欠である。

コーセーは17年に国連グローバル・コンパクトに署名し、15年の国連サミットで採択された30年までの持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」への積極的な貢献を表明。その一つとして「SAVE the BLUE」プロジェクトを強化しており、18年は、毎日小学生新聞やウェブサイトに掲載された「SAVE the BLUE 物語」を読んだ全国の小学生を対象に感想文や感想画を募集する企画を実施しているが、1989年生まれの岩田剛典氏の起用は、若年層が地球環境問題を知るきっかけとして期待できるわけだ。

もちろん、岩田剛典氏の起用は「雪肌精」のブランド認知を広げる狙いもあるが、それは社会貢献活動の継続、発展に向けた企業側の工夫ともいえる。社会貢献活動は、消費者、企業、社会それぞれにメリットがなければ続かない。例えば、消費者は商品・サービスを購入することで、社会貢献に容易に参加できるとともに商品効果が得られ、商品の拡販で利益を得る製配販はビジネスと社会貢献を継続・発展できる。そして地球環境の保全が進めば、社会はベネフィットが得られる。つまり、「SAVE the BLUE」プロジェクトは、社会的価値と経済的価値の創造が連動するCSV(Creating Shared Value)が成り立っていると捉えられる。今回の岩田剛典氏の起用で若年層を巻き込めば、これまで以上にブランド成長と環境保全活動の加速が期待できる。

今後、問われるのは、企業の姿勢だ。環境意識が高い消費者ほど、企業が利益追及に少しでも傾くと敏感に反応する。今後もコーセーは「SAVE the BLUE」プロジェクトを続けるだろうが、その中身の充実度は、組織・社員の環境に対する姿勢を表すことになる。それは日本に限った話ではない。地球環境問題は世界共通の課題で、グローバルブランドを目指す「雪肌精」は、11年から「SAVE the BLUE」プロジェクトを海外でも開始。18年は中国、台湾、香港、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカで、各国の現状に合わせた活動を行っている。社会貢献活動への理解度が異なる国・地域で、どのように活動を維持・発展させるのか。コーセーの企業姿勢、社員の意識が試される。