プラセンタ原料メーカーの森田薬品工業は、自社ブランド「&setouchi(アンド セトウチ)」を立ち上げ、BtoC事業に本格参入した。2025年7月25日に美容ドリンク「HARI DRINK premium(ハリドリンクプレミアム)」(50㍉㍑・864円、3本入り・2592円、10本入り・8640円)を発売し、現在は百貨店でポップアップを開催し、認知拡大を図っている。同社が自社ブランドを手掛けるのは初めてで、これまで原料供給にとどまっていた事業領域を最終製品へと拡張する。

「ハリドリンクプレミアム」(50㍉㍑・864円、3本入り・2592円、10本入り・8640円)
1929年創業の同社の強みは、医薬品グレードのプラセンタを扱う技術基盤にある。国内で医療用・一般用を含めプラセンタ製剤を製造できる企業は4社程度と限られ、その中で同社は原料から製品まで一貫して手がける体制を持つ。美容ドリンクについては、子会社のビタエックス薬品工業を通じて「ビタエックスG.O.」(第2類医薬品・30㍉㍑・1749円)を展開。同商品は、年間約200万本、現在までで累計約5000万本を販売する。
こうした実績を背景にしながらも、同社が自社ブランドに踏み出した理由は「原料の価値を十分に生かしきれていない」(中村貴治・森田薬品工業 常務 経営企画本部長&マーケティング責任者)という課題認識があった。中村氏が起点となり、プラセンタ技術を最終製品として顧客に直接届ける必要性を提起。23年にはプロジェクトチームを立ち上げ、約2年をかけてブランド開発を進めた。
ターゲットは40~50代を中心とする美意識の高い女性層。更年期世代の悩みも視野に入れつつ、訴求はあくまで美容・コンディション領域に置く。体調面と美容の双方にアプローチする内外美容の確立を見据える。

第1弾商品に美容ドリンクを投入したのは、「体感を得やすいカテゴリー」であることに加え、化粧品と比較して「機能価値をシンプルに伝えやすい点を重視した」ためだ。まずは即時的な体感をフックにブランド認知の獲得を目指す。
商品の核となるのは、医薬品由来の豚プラセンタと、勇心酒造の米発酵成分「ライスパワーNo.103」の組み合わせだ。プラセンタと発酵という異なる領域の強みを掛け合わせることで他社商品との差別化を図る。さらにフィッシュコラーゲンやビタミン複合体などを配合し、総合的な設計とした。「医薬品用途のプラセンタは特有の風味が強く、飲用性の改善が不可欠となる。試作は50種類以上に及び、最終的にラズベリーを基調とした風味に加え、広島県産レモンや食用バラエキスを組み合わせることで飲みやすさを実現した」と開発時の課題点を振り返った。
ブランド名に掲げる「アンド セトウチ」は地域性とも結びつく。セトウチはニッチトップメーカーとのコラボを意味する。今回の美容ドリンクには福山市が戦後の復興の象徴として100万本のバラを植樹した歴史に着想を得て、広島県福山市で無農薬栽培の食用バラから抽出した天然ローズエキスを配合。パッケージにもバラをあしらう。地域資源とストーリーを重ねることで、機能だけでない情緒価値の訴求を狙う。また、アンドとしたのは、今回の勇心酒造との取り組みのように、得意分野を持つ企業と連携を積極的に進めることを体現した。
販売は百貨店のポップアップなどを軸としたオフライン展開からスタートし、自社ECへと導線をつなぐ。定期購入率は約86.5%に達し、好スタートをきっている。
今後は12月をめどにハリドリンクプレミアムのパウチタイプを投入し、27年秋には化粧品カテゴリーへ領域を広げ、クリームを発売する計画だ。また美容クリニックやエステなどチャネル拡大も視野に入れ、医薬品で培った技術を軸に美容領域での存在感を高めていく。
























