100人を超える聴衆が聞き入るプレゼンを、久しぶりに目にした。資生堂ジャパンは2月、化粧品専門店に戦略を発信する「ビューティーパートナーコンベンション2026」を開催した。日本事業トップの中田社長、R&D責任者の東條執行役員、各ブランドマネージャー、営業統括、専門店部部長が順に登壇。ビジョン、研究、マーケティング、営業と、競争力を支える要素を丁寧に積み上げる構成は、専門店経営者から高い評価を得た。とりわけ印象に残ったのが、専門店部の清水部長である。専門店チャネルの特性を踏まえ、業界活性化につながる戦略を描き、それを実行に移そうとする姿勢。飾らない言葉の端々に、長年このチャネルと向き合ってきた重みがにじんでいた。清水部長は、創業150周年のメッセージ「美しさとは、人の幸せを願うこと」を引用。「世の中の人みんなが幸せになってほしい。その考えこそが美しさであるという思いが込められています。私たちは、お客さまとともに価値を届けてくださる専門店の皆さまの幸せもしっかり考えていきたい」。理念を言葉にとどめず、行動で示す覚悟を語りプレゼンを終えた。ある専門店経営者はこう語った。「専門店とともに人生を歩み、専門店部部長の要職に就き、業界の活性化に力を尽くす。その生き方こそが美しい。まさに『一瞬も 一生も 美しく』を体現しているのではないか」と。専門店を取り巻く環境は決して平坦ではない。それでも資生堂を盛り上げようとする確かな空気が生まれた。コンベンションで示された理念と戦略を、それぞれの店でどのようにかたちにするのか。静かに見守りたい。

月刊『国際商業』2026年04月号掲載