ライオンの2025年12月期第3四半期業績は、売上高が前年同期比1.3%増の3049億4500万円、事業利益19.9%増の223億2000万円、営業利益62.7%増の278億2900万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益64.3%増の208億1300万円となり、増収大幅増益となった。

「オーラルヘルスケア分野」「ビューティケア分野」「ファブリックケア分野」「リビングケア分野」「薬品分野」「その他の分野」で構成される一般用消費財事業は、売上高が1.6%増の1860億2000万円、事業利益は、収益構造改革施策の推進により、32.2%増の158億5700万円となった。各分野の売上高を見ると、オーラルヘルスケア分野が4.6%増の568億6000と好調。特にハミガキの高付加価値化が奏功した。この9月には歯ぐきの修復力を高め、歯槽膿漏をトータルでケアする同社最高価格帯の新製品「デントヘルス薬用ハミガキDXプレミアム」も発売し、勢いが増していきそうだ。また、歯科ルート向け製品の売り上げも伸長し、全体を押し上げた。

ビューティケア分野は、1.5%増の183億5900万円。ハンドソープにおいて「キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ」が前年同期を大幅に上回り、全体の売り上げも前年同期を上回った。また、トリートメントの前にヘアセラムを使用するという新たな習慣を提案するヘアケアの新ブランド「MEGAMIS」を一部の販売店およびECサイトにて発売し、好評を得ていることも後押しした。

ファブリックケア分野は、2.2%減の401億5300万円。柔軟剤においては、「ソフラン プレミアム消臭」が前年同期を下回ったことから苦戦。一方、洗濯用洗剤は、新酵素配合により洗浄・消臭力を高めた「NANOX one」を改良発売したことで、前年同期を上回る売り上げとなった。

リビングケア分野は0.7%増の151億7400万円。住居用洗剤では、銀イオンの煙で除菌し新たなニオイの発生を防ぐという、新しいトイレ掃除の習慣を提案する新製品「ルックプラス トイレのまるごと除菌消臭くん煙剤」が好調。併せて、浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」が順調に推移し、前年を上回った。

薬品分野は7.9%減の171億400万円。解熱鎮痛薬は、「バファリンプレミアムⅮⅩ」が前年同期を大幅に上回ったが、「バファリンA」が前年同期を下回り、全体の売り上げは前年同期比減。点眼剤は、24年に発売した「スマイル40プレミアムザ・ワン」の反動減により、前年同期を下回った。足用冷却シートは「休足時間足すっきりシート」が、ニキビ薬は「ペアアクネクリームW」が好調に推移し、それぞれ売り上げは前年同期を大幅に上回った。

主にペット用品等で構成されるその他の分野は、6.7%増の383億6900万円。ペット用品は、オーラルケア用品「PETKISS」が前年同期を大幅に上回るとともに、猫用トイレの砂「ニオイをとる砂」が順調に推移した。

海外事業は、タイ、マレーシア等の東南・南アジア、中国、韓国等の北東アジアにおいて事業を展開。
事業全体の売上高は0.7%増の1298億4600万円、事業利益は、15.9%増の55億9500万円増収2桁増益となった。主要国を中心に最重点分野であるオーラルヘルスケアの事業拡大に努めており、ベトナムの持分法適用関連会社を100%子会社化、バングラデシュにおいては事業の本格化に向けて工場建設を進めるなど、持続的な成長に向けた施策を着実に推進している。

国別売上高を見ると、タイは3.3%増の490億7700万円。洗濯用洗剤の近隣国への輸出が減少したものの、為替変動の影響もあり、全体の売り上げは前年同期を上回った。ボディソープは、店頭での積極的なプロモーションにより「植物物語」が好調に推移。

マレーシアは8.7%増の207億6400万円。洗濯用洗剤で液体洗剤「トップ」が順調に推移し、全体の売り上げも前年同期を上回ったこと、ハミガキで重点育成に努めている「Fresh & White」が順調に推移したことが成長要因となった。

中国は4.8%減の215億8400万円。ハミガキは、昨年現地生産品を発売した「クリニカ」が好調に推移したものの、主力の「ホワイト&ホワイト」で収益性確保に向けたブランド価値の維持に努めたこともあり、全体の売り上げは前年同期を下回った。ハブラシは、「システマ」が順調に推移し、全体の売り上げも前年同期を上回った。

韓国は14.8%減の150億2100万円。洗濯用洗剤は、主力ブランド「BEATビート」のカプセル洗剤は前年同期を上回ったが、粉末洗剤が前年同期を下回り、全体の売り上げは前年同期比減となった。ハンドソープは、「Ai! Kekute」が順調に推移。しかし、日本向けの粉末洗剤の輸出が減少するなどグループ内の売り上げが大幅に減少したことなどが影響し、前年同期を下回った。

25年12月期通期業績は、売上高1.7%増の4200億円、営業利益23.3%増の350億円、事業利益13.9%増の300億円、親会社の所有者に帰属する当期利益17.9%増の250億円と前回予想を据え置いた。