ライオンの2023年12月期第2四半期業績は、売上高は前年同期比4.2%増の1928億8700万円、営業利益56.2%減の62億4400万円、税引前利益54.1%減の72億2900万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益61.1%減の42億9800万円と増収減益ながら公表している目標は達成。想定通りの推移となった。減益となったのは本社移転費用の発生や原材料価格上昇の影響による。ただ、原材料価格に関してはマイナス影響25億円に対し、販売促進の効率化で13億円、260SKUに及ぶ製品の出荷価格の引き上げで27億円の計40億円ではねのけている。「原材料価格は、昨年の第4四半期をピークに利益へのマイナスは縮小。下期には対前年で増益要因に転じる」(竹森征之社長)見通しだ。
セグメント別では、「オーラルケア分野」「ビューティケア分野」「ファブリックケア分野」「リビングケア分野」「薬品分野」「その他の分野」から成る一般用消費財事業は、売上高は2.6%増の1287億8600万円、セグメント利益は82.9%減の7億3400万円だった。
オーラルケア分野のうち、ハミガキは「NONIOノニオプラスホワイトニング ハミガキ」や「クリニカアドバンテージ ハミガキ」が好調に推移した一方で、一部ブランドにおいて販売促進の内容を見直したことから全体の売り上げは前年同期比微減だった。ハブラシは、新製品「LIONライオン電動アシストブラシ」が好評だったこともあり、前年同期を上回った。デンタルリンスは、「NONIOノニオマウスウォッシュ」が苦戦した。分野全体の売り上げは2.4%増の344億7200万円と増収だった。
ビュ-ティケア分野は、ハンドソープが市場縮小の影響を受けたのに加え、ボディソープで「hadakaraハダカラボディソープ 泡で出てくるタイプ」が好調に推移したものの、液体タイプが前年同期を下回ったこともあり、売り上げは5.0%減の119億3100万円となった。
ファブリックケア分野は、柔軟剤において「ソフラン プレミアム消臭」が前年同期を下回った一方で、新製品「ソフラン エアリス」の発売が売り上げを底上げした。一方で、洗濯用洗剤は、液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOXナノックス ニオイ専用」が前年同期を下回るとともに、一部の粉末洗剤の販売を終了したことが影響。分野全体の売り上げは3.2%増の298億3800万円にとどまった。リビングケア分野は、住居用洗剤で「ルックプラス バスタブクレンジング」等が前年同期を下回ったこともあり苦戦。台所用洗剤は、食器洗い機専用洗剤「CHARMYチャーミー クリスタ」が堅調に推移したものの、「CHARMYチャーミー Magicaマジカ」が伸びなやんだ。これらの結果、売り上げは5.1%減の108億1400万円と減収だった。
薬品分野は、解熱鎮痛薬で「バファリン プレミアムⅮⅩディーエックス」が好調に推移したが、「バファリン プレミアム」、「バファリンA」が前年同期を下回った。一方、点眼剤は「スマイル40ゴールド」シリーズが好調に推移したことが売り上げを押し上げた。ニキビ薬は「ペアアクネクリームW」が好調に推移した。足用冷却シートは、インバウンド需要の回復により前年同期を大幅に上回った。これらにより分野売り上げは6.5%増の118億9200万円だった。
産業用品事業は、売り上げが4.8%増の285億600万円、セグメント利益は8.1%増の16億7500万円と好調だった。モビリティ分野のタイヤの防着剤が順調に推移したことに加え、エレクトロニクス分野で二次電池用導電性カーボンが堅調だった。
海外事業は、売上高14.8%増の702億5700万円、セグメント利益は86.0%増の34億9700万円と大幅増収増益だった。そのうち地域別の状況を見ると、東南・南アジアの売上高は9.0%増の426億6300万円、セグメント利益145.6%増の20億4700万円と堅調。タイでは、洗濯用洗剤が数量ベースで伸びなやんだが、ボディソープ「植物物語」が好調に推移し、円貨換算後の全体の売上は前年同期を大幅に上回った。マレーシアでは洗濯用洗剤が前年同期を下回ったが、為替変動がプラスに働いた。北東アジアの売上高は25.2%増の275億9400万円、セグメント利益は38.5%増の14億4900万円と増収増益。中国では、ハミガキ「ホワイト&ホワイト」が好調に推移するとともに、ハブラシ「システマ」が順調に推移した。韓国では、洗濯用洗剤が好調に推移した。
23年12月期通期業績は、売上高5.2%増の4100億円、営業利益13.3%減の250億円、親会社の所有者に帰属する当期利益20.2%減の175億円と前回予想を据え置いた。