ライオンの2022年12月期第3四半期決算は、売上高は前年同期比6.9%増の2861億4100万円(為替変動の影響を除いた実質前年同期比3.9%増)、営業利益同12.1%減の223億9600万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同60.7%増の171億700万円。原材料価格の上昇の影響が拡大して増収減益となった。

11月7日に行った記者会見で掬川正純社長は「自己採点では70点。中長期経営戦略フレーム『Vision2030』のファーストステージとして、成長軌道を加速するギアチェンジの時と申し上げてきた。1-9月の業績は全体ではトップラインで成長を上回り、順調なスタートを切った。しかし、個別にみると、国内のファブリックケア分野、海外の中国は伸ばし切れていない。来年はファブリックケア分野で大型新商品の投入を控えているほか、中国の売上停滞からの脱却を目指す施策を展開し、大きく回復させたい」と語った。

事業別にみると、一般用消費財事業の売上高は同3.9%増の1930億900万円、セグメント利益は同43.8%減の89億7200万円となった。

オーラルケア分野は高付加価値品が堅調に推移し、売上高は同4.3%増の520億4300万円。ハミガキは「クリニカアドバンテージ ハミガキ」が好調に推移するとともに、新製品「システマハミガキプラス プレミアムハミガキ よくばりな美白」や「クリニカPRO ハミガキ」が好調で前年同期を上回った。ハブラシは「クリニカアドバンテージ ハブラシ」や「NONIO ハブラシ」が好調に推移し、前年同期を上回った。

ビューティーケア分野の売上高は同7.0%増の198億500万円。ハンドソープで「キレイキレイ薬用泡ハンドソープ」が好調に推移し、前年同期を大幅に上回ったことや、ボディソープで「hadakara ボディソープ」が好調に推移したことが売上増に貢献した。

ファブリックケア分野の売上高は同0.2%減の439億3400万円。柔軟剤は「ソフラン アロマリッチ」が好調に推移して前年同期を上回った一方、漂白剤「ブライト」シリーズが前年同期を下回ったことが全体の売り上げを押し下げた。

リビングケア分野の売上高は同6.8%減の170億6800万円。台所用洗剤は「CHARMY Magica」が前年同期を下回った。住居用洗剤は、浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」や「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」が前年同期を上回ったが、トイレ用洗剤が前年同期を下回った。これらの結果、全体の売り上げは前年同期比微減となった。

薬品分野の売上高は同3.1%減の179億1200万円。解熱鎮痛薬は市場が順調に推移する中、昨年発売した「バファリン プレミアムDX」が好評だった一方、ニキビ薬「ペアアクネクリームW」が前年同期を下回ったことなどで全体の売り上げは前年同期を下回った。

海外事業の売上高は同18.3%増の962億6700万円。海外事業は早期の値上げ実施で単価下落を抑えたほか、中国のロックダウン緩和もあり復調した。マレーシアは店頭イベントを実施して売り上げが大幅に増加。韓国ではハンドソープ、洗濯用洗剤が好調に推移し、売り上げが前年同期を大幅に上回った。

22年12月期通期業績は、売上高2.4%増の3750億円、営業利益は11.8%減の275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益15.8%減の200億円と、前回公表した予想を据え置いた。

一方、2030年を見据えた取り組みも加速している。「LIONオーラルヘルスイニシアチブ」では、法人向け健康経営支援サービス「おくちプラスユー」の販売が好調で、特にオーラルケアセミナーは売上達成率180%を見込んでいる。また、口腔・睡眠・運動器の機能を同時にトレーニングする「健口眠体操」を搭載した介護施設向けゲーム機「TANO-LT」の販売を9月から開始した。さらに「オーラルフレイル予防プログラム」を開発し、自宅で口腔機能のチェック、口周りの筋力トレーニングを実施できる新サービスを年内に開始する。海外事業では、9カ所目の海外拠点として、バングラディッシュへの進出を決定。同国で事業を展開するカロール社と合弁会社「ライオンカロール」を9月に設立。10月から事業を開始し、同国の市場に本格的に参入する。