花王の2025年12月期第3四半期業績は、売上高が前年同期比3.5%増の1兆2320億3400万円、営業利益13.7%増の1148億6700万円、税引前四半期利益14.8%増の1194億1200万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益19.3%増の847億1900万円と、第2四半期に続き増収2桁増益となった。売り上げは、各カテゴリー、エリアにおける売り上げが回復基調になることが伸長につながった。利益面では数量増や価格施策を含む稼ぐ力の継続的向上により2桁増益が継続している。

セグメント別では、グローバルコンシューマーケア(GC)事業の売上高は2.1%増の9289億円、営業利益は148億円増の914億円と増収増益。そのエリア別の売り上げをみると、日本は4.8%増の6178億円、アジアは3.6%減の1556億円、米州は4.3%減の892億円、欧州は0.2%増の664億円となった。

GC事業の内訳をみると、ハイジーンリビングケア事業の売上高は1.2%増の3979億円、営業利益577億円(前年同期35億円増)と増収増益。そのうちファブリック&ホームケア製品の売り上げは3.7%増の2784億円。ファブリックケア製品は、日本では衣料用洗剤「アタック抗菌EX」シリーズの改良品などが、製品価値向上に伴う価格改定の効果もあり、売り上げ増とともにシェア拡大に寄与した。ホームケア製品は、日本の食器用洗剤の改良品などが好調に推移し、前年同期を上回った。ファブリック&ホームケア製品の営業利益は516億円(38億円増)となった。サニタリー製品の売上高は4.1%減の1195億円。生理用品「ロリエ」の売り上げは前年同期を上回った。中国では引き続きロイヤルティマーケティングが奏功し、売り上げは好調に推移。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、日本では前年同期を上回った一方、アジアで競合の攻勢などにより前年同期を下回った。サニタリー製品の営業利益は61億円(2億円減)。

ヘルスビューティケア事業は、売上高2.3%増の3218億円、営業利益は296億円(39億円増)。スキンケア製品の売り上げは前年同期を上回った。日本では、UVケア製品やシート関連のシーズン品が伸長し前年同期を上回ったが、米州の売り上げは「JERGENS」が競合からの攻勢などを受け前年同期を下回った。ヘアケア製品の売り上げは前年同期を大幅に上回った。日本では、24年に発売した高価格帯のヘアケアブランドに加え、新製品の「MEMEME」が好調に推移した。欧米のヘアサロン向け製品の売り上げは、「ORIBE」が好調に推移した一方で、「GOLDWELL」が米国や欧州の景況感悪化などの影響を受け前年同期を下回った。パーソナルヘルス製品の売り上げは前年同期を上回った。「ピュオーラ炭酸ハミガキ」が日本で引き続き好調に推移し、「めぐりズム」の改良品が日本と中国で伸長した。

化粧品事業の売上高は4.6%増の1812億円、営業利益は注力6ブランドへの投資の集中や事業のスリム化などが利益改善に大きく寄与し、30億円(109億円増)と黒字転換した。日本の売り上げは前年同期を上回った。好調を継続している「Curél」「KANEBO」「SOFINA iP」、インバウンド需要を捉えた「SENSAI」などの注力6ブランドが継続して増収に寄与した。アジアの売り上げは前年同期を上回った。中国では「freeplus」の好調に加え、昨年は流通在庫の適正化に伴う出荷抑制実施もあり、今期の売り上げは前年同期を大幅に上回った。また、注力しているタイでは、「KANEBO」や「KATE」が計画を上回る進捗を示した。欧州では、「SENSAI」と「MOLTON BROWN」が好調に推移したほか、「Curél」の欧州展開を強化した。

ビジネスコネクティッド事業の売上高は4.2%減の280億円、営業利益は12億円(36億円減)。業務用衛生製品の売り上げは、前年同期を上回った。メディカル分野では競合との価格競争の影響を受けたが、フードサービスや宿泊・レジャー分野では、堅調な市況に伴い厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が引き続き高まった。

ケミカル事業の売上高は7.6%増の3369億円、営業利益は一部の対象分野での需要減と原料価格変動の影響などを受け229億円(30億円減)と増収減益。油脂製品は、地域ごとの需要の状況には違いが出ているものの、油脂原料価格の上昇を受けて実施した販売価格改定の貢献が大きく、売り上げは前年同期を上回った。機能材料製品は、自動車関連分野などの対象市場の停滞がある中でも、販売価格改定の効果の寄与により、売り上げは前年同期並みで推移。情報材料製品は、半導体関連やハードディスクなどの対象分野の需要が堅調に推移し、その着実な取り込みを通じて、売り上げは伸長した。

25年12月期通期業績は、売上高3.8%増の1兆6900億円、営業利益12.5%増の1650億円、税引前利益11.2%増の1680億円、親会社の所有者に帰属する当期利益12.3%増の1210億円と前回予想を据え置いた。