2004年に誕生したファッションEC「ZOZOTOWN」が、2024年に20周年を迎えた。創業当初、「インターネットで洋服を買う」という行為はまだ一般的ではなく、先進的なユーザーが利用する新しい購買手段の一つに過ぎなかった。しかし20年を経た今、ZOZOTOWNは年間流通総額約4919億円、出店ブランド数9000以上と国内最大級のファッションECへと成長し、業界における地位を確立している。

その歩みを支えてきたのは、ユーザー体験に徹底してこだわる姿勢だ。20年を振り返り、長年在籍するEC推進本部/カテゴリ推進部の青木俊祐ディレクターは「常にユーザーに寄り添ったUI/UXの提供を意識してきたことが成長の核になった」と強調する。中でも16年に導入した「ツケ払い」は、若年層を中心に会員獲得を大きく後押しし、サービス拡大の転機で、「開始から1年以内に利用者が100万人を突破するなど、社内外で大きな反響があった」(青木ディレクター)と当時を振り返る。

また、挑戦を歓迎する企業風土も成長の原動力だ。社員の声を起点に、新しい試みを柔軟に採用する文化が定着しており、「少しでも可能性があれば一度試してみる」という姿勢が、革新的なサービス創出につながっている。

ZOZOCOSMEの拡大も顕著だ。21年のローンチ以降、現在の出店ブランドは750以上へ拡大し、取扱高も57億円から147億円へと成長。UI改修では「悩み別で探す」機能やカテゴリー細分化を導入し、23年にはレビュー機能を実装。口コミを重視するコスメ市場において購買ハードルを下げ、売れ行き改善に寄与している。

さらに、ARメイク体験やZOZOGLASSによる肌色計測など、テクノロジーを活用した取り組みも特徴。すでに累計140万人以上がZOZOGLASSを利用し、ファンデーションやコンシーラー選びの精度向上に役立てている。同社は今後も「ファッション×テクノロジー」を掲げ、パーソナライズされた提案を強化する方針。コスメにおいても、アパレルとコスメのあわせ買いのデータも含め、アイテムの売れ行きや前年との売上比較、顧客属性(新規・既存の割合)などをもとに、ブランドと今後の具体的な戦略を検討していく考えだ。

月刊『国際商業』2025年11月号掲載