アルビオンと東京電機大学は、AI技術の一つである深層学習(人間の神経細胞の仕組みを再現したニュートラルネットワークと呼ばれるモデルを用い、画像認識や音声認識など、人間が自然に行う認知や学習と同じように、コンピュータに学習させる手法の一つ)を用いた新規肌分析方法について共同研究を進めている。

このたび肌の透明感の分析に関する深層学習モデル、および、その透明感の指標に基づいた肌画像生成モデルの開発に成功した。また、同研究内容について第35回IFSCCカンヌ大会2025にて口頭発表を行った。

【研究①】透明感の分析に関する深層学習モデルの開発

肌状態が良好であるとき透明感は高まると考えられている。また、透明感に関連する要素として「肌のキメ」「肌のモイスチュアバランス」「血行」「メラニン」などが関与すると言われている。しかしながら、それらの要素の関連性ははっきりしていないため、透明感の評価は非常に困難となっていた。さらに、透明感の判断は人間の直感的な要素も含むため単純な計算では正確に評価することが難しいと考えた。

そこで、人間の神経細胞の仕組みを再現した深層学習に着目し、透明感の評価を可能とする精度の高い深層学習モデルの開発に成功した(図1/決定係数〈機械学習においてモデルの精度を示す尺度の一つ。0から1の値をとり1に近いほど精度が高い〉:0.88)。

また、この深層学習モデルは肌の透明感を数値化するだけではなく、顔全体に対して分析を実施することで顔の場所による違いを知ることも可能である(図2)。

図1. 人間の評価と深層学習モデル予測の比較

図2. 透明感モデルの評価結果

【研究②】透明感の指標に基づいた肌画像生成モデルの開発

研究①より開発された透明感の評価基準に基づいて、さらに深層学習による画像生成モデルの開発に成功した。この画像生成モデルは現在の肌画像から透明感の変化を段階的に生成することが可能である(図3)。また、同モデルにより透明感を変化させた顔全体の画像生成も可能だ(図4)。

図3. 実際の画像から段階的に画像を生成

図4. 顔全体の画像生成

アルビオンは、これらの技術をさらに進化させ、カウンセリングや商品選びのサポート、お客のスキンケアに対する期待感や満足度向上につなげていくとしている。