第一三共ヘルスケアは、独自のアミノ酸組成の混合原料(「新アミノ酸コンプレックス」)を配合した製剤を用いた試験を実施し、その結果、「新アミノ酸コンプレックス」が肌の角層における結合水量を増加させることを確認したことを明らかにした。この研究成果により、減少した角層中の結合水量を増加させ、肌の貯水力(みずみずしく角層に水分を保つという、すこやかな肌にそなわる力)を高める製品の開発が期待できる。

第一三共ヘルスケアでは、敏感肌に関する研究を長年続けている。今回の研究では、バリア機能が低下した敏感肌は健常な肌に比べて乾燥しやすいことから、肌の貯水力を左右する角層中の結合水に着目。結合水は、角層中の天然保湿因子などと結びつくことで、乾燥した環境下でも肌から蒸発しにくい水分であり、肌がみずみずしくうるおいを保つために重要な役割を果たす。

アミノ酸は肌のバリア機能を正常に保ち、うるおいを与える効果がある。研究の結果、「新アミノ酸コンプレックス」が角層中の結合水量を増加させることを新たに見いだし、その影響を評価した。また、保湿剤として広く使用されているグリセリンと組み合わせた際の効果も検証した。

「新アミノ酸コンプレックス」が角層における結合水量へ与える影響を評価するため、ヒト皮膚由来の角層シートを用いて、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)処理することでバリア機能低下(敏感肌)モデルを作製し、試験を実施した。

試験方法は、乾燥させた角層シートに各種製剤を塗布し、DSC(示差走査熱量計)による測定結果から、角層シート中の結合水量を算出。まず、健常な肌とバリア機能が低下した肌の状態を比較するため、精製水で処理した角層シート(健常肌モデル)と、SDSで処理した角層シート(バリア機能低下モデル)の測定を行った。その後、SDS処理した角層シートに「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤を塗布した場合の測定も行った。

この結果、SDS処理した角層シート(バリア機能低下モデル)では、精製水で処理した角層シート(健常肌モデル)と比較して、角層中の結合水量が有意に減少することが分かった。さらに、バリア機能低下モデルの角層シートに「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤を塗布すると、減少した結合水量が有意に増加した(図1)。

また、GL(グリセリン)を添加した「新アミノ酸コンプレックス」製剤を塗布すると、「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤単体と比較して結合水量が有意に増加した(図2)。

これらのことから、「新アミノ酸コンプレックス」とグリセリンの組み合わせを製剤に同時配合することによって、より高い保湿効果を得られる可能性が示唆された。

同研究により、「新アミノ酸コンプレックス」が角層中の結合水量を増加させること、また、グリセリンと組み合わせることにより、「新アミノ酸コンプレックス」単体よりもさらに角層の結合水量を有意に増加させることを確認。これらの知見を製剤に応用することで、減少した角層中の結合水量を増加させ、肌の貯水力を高めることが期待できる。

第一三共ヘルスケアは今後、同研究を製品開発に応用することで、敏感肌の人の悩みにより深くアプローチし、QOL(生活の質)向上につながる付加価値の高い製品を提供していく考えだ。