日本においてインターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは、2025年3月14日、韓国内のビューティー関連企業を集めた「Qoo10 K-Beauty Conference(以下、カンファレンス)」(韓国・ソウル市)を開催。eBay Japanの25年度の新たな経営方針として、「K-Beauty企業を、企業価値1000億円20社、100億円100社に育成」を目指すと発表した。
eBay Japanは、10年6月、日本でのQoo10の運営を開始し、流通取引総額(以下、GMV)がサービス開始以来、国内EC市場の成長の約四倍と、大きく上回るスピードで成長を続けており、会員数は2500万人、出店数は2万8600店、取り扱いアイテム数は12億点超。24年には流通総額2桁成長を遂げている。中でも成長をけん引しているのが、K-Beauty(韓国コスメ)を中心としたビューティーカテゴリーの伸びで、年平均成長率64%。Qoo10は、日本のECにおけるビューティーカテゴリーにおいて、市場のリーダーとなっている。
また、20代の若い女性におけるQoo10の認知度は90%以上。なかでもQoo10が年4回開催している「メガ割」は、多くのK-Beauty好きが注目するECセールだ。毎回流通額を伸ばし、SNSにおいて「#メガ割」は12億回の再生回数を記録。25年3月に開催した直近のメガ割では、総取引額490億円(前年比25%増)を達成。1日目の訪問者数は600万人、期間中の購入者数350万人、販売商品アイテム数は45万個、初日のLiveショッピング販売件数は7.3万件、流通額は4.2億円となった。
こうした状況の中、eBay Japanは改めて「ビューティーカテゴリーに全てをかける」という方針のもと、さらなるQoo10の発展を目指す。グ・ジャヒョン社長は、カンファレンスで韓国の企業に向けて次のようなメッセージを送った。
「韓国ビューティ企業におけるキーワードは海外市場、中でもアメリカだと考えられていますが、私は日本もまた魅力あふれる市場だと言いたい。日本市場はアメリカ中国に次いでトップ3位であり、かつ日本は韓国の文化と商品に対する深い理解や親和性ある。日本の消費者は洗練された目線で、冷静かつ合理的な購買行動をとりますから、高い品質、合理的な値段、トレンドを主導するK-Beautyは日本のお客さまに気に入っていただける。また、地理的に近いことで、物流のメリットがあることはもちろん、市場やお客さまに対する理解を深め、戦略を深めやすいというメリットがあります。このように、市場規模以上にさまざまな要素があることから、日本市場はK-Beautyにおいてアメリカに次ぐ第2の市場になると考えています。まだ課題はあるものの、韓国の化粧品は積極的なグローバル展開を通じて、地球上の多くの人に長らく愛されるものになると信じています。そこで、私はここで誓います。これから3年以内に1兆ウォン(約1000億円)以上の価値を持つ企業を20社、1000億ウォン(約100億円)の企業100社を目指します。ぜひ、一緒にグローバル市場を舞台にしたこの大きな市場を作り上げませんか。私たちと一緒にその夢を繰り広げませんか。私たちはその呼び水になれると信じています」
参入背景を分析すると、Qoo10には①Z世代をはじめとする若年層が好むECであること②韓国と日本の両方での営業支援とマーケティング力があること③韓国ブランドへの理解があること――の三つの強みがある。セラーの多くは、Qoo10を日本進出の登竜門の位置づけとしてスタートし、その後、各社それぞれに規模拡大を図り、大きく成長を遂げている。現在Qoo10では、ファッション専用のサービス「MOVE by Qoo10」、日用品をまとめて購入できるサービス「Qmart」、新商品を無料で提供し21万件以上のレビューを公開する「サンプルマーケット サンQ」、eBayの世界初となる東京渋谷のLiveショッピング専用のLIVESUDIOから配信する「Liveショッピング」などのサービスがあるが、今後もビューティーカテゴリーに対してさまざまな新サービスを推進する考えだ。