ロート製薬、小林製薬、サンスターグループ、TOA、マンダム、およびジャパン・ティッシュエンジニアリング(以下、J-TEC)の計6社は、安全性評価項目の一つである皮膚刺激性試験の代替法の共同研究を、日本動物実験代替法学会第37回大会において発表し、大会長特別賞を受賞した。

厚生労働省より2021年4月に発出された医薬部外品・化粧品の皮膚刺激性評価体系に関するガイダンスでは、試験に利用できる医薬部外品・化粧品成分が皮膚刺激性のリスクがほぼないと予想される物質に限定されている。そこで、評価可能な成分の適用拡大ができるようにガイダンスが改定されることを目的に、動物実験代替法のデータ拡充や試験条件の充実に取り組んできた。この研究成果を24年11月29日~12月1日にライトキューブ宇都宮で開催された日本動物実験代替法学会第37回大会において発表し、その結果、大会長特別賞を受賞した。

今回の研究成果創出にあたり、ロート製薬らは日本動物実験代替法学会が主催する「第8回化粧品等の安全性確保を目的とした試験法評価に関する研究助成金」を受けた。さらに、アドバイザーとしてコーセー、一般社団法人SSCI-Net、日本化粧品工業会も参画し、研究内容について議論を重ねてきた。

今後、化粧品業界への貢献を目指し、共同でさらなるデータ拡充や試験条件を充実させ、取得した試験結果や知見をデータベース化したものを公表していく考え。

化粧品業界では、動物実験代替法による試験法の活用が加速度的に進み、化粧品、医薬部外品等の評価に利用されている。安全性試験では、厚生労働省から発出される医薬部外品ガイダンスなどに示される公的な評価法が利用可能となっており、皮膚刺激性の評価においては、「医薬部外品・化粧品の安全性評価における皮膚刺激性評価体系に関するガイダンスについて(薬生薬審発 0422第3号)」(以下「同ガイダンス」)が利用可能となっている。ロート製薬ら6社は、同ガイダンスがより活用しやすい形に改定されるための活動として、皮膚刺激性に関する試験結果や知見のデータベース化を進めてきた。

今回、日本動物実験代替法学会が主催する「第8回 化粧品等の安全性確保を目的とした試験法評価に関する研究助成金」を受け、J-TECのヒト3次元培養表皮 LabCyte EPI-MODEL24を用いて、以前実施した16成分のうち6成分と、新たに18成分を加えた24成分について、より詳細な刺激性データを取得することができた。同ガイダンスに用いられている試験法ガイドライン「OECD TG439」では、原料が誤って皮膚に付着した場合の評価を主目的としていることから、未希釈成分の評価を想定しており、成分を希釈した際の試験条件等については言及されておらず、同ガイダンスにおいても希釈することは認められていない。また、希釈した際に非刺激性となった濃度を見出しても、最終的に皮膚刺激性として適用可能な濃度設定の考え方が明確でないことも課題となっている。

現在、同ガイダンスにおいてOECD TG439の後に実施するヒトパッチテストを協力機関の協力のもと、相関性を確認している。動物実験代替法による試験結果とヒトによる試験結果を組み合わせてデータを取得し、これをもとにガイダンス改定に貢献できるデータの提供を進めていきたい考えだ。