かたや とうじろう

同志社大学経済学部を卒業後、デューク大学で東アジア研究の修士課程を修了。
2019年にGenBridge Capitalに入社。
GenBridge Capitalは、中国の消費関連企業への投資に特化したプライベートエクイティファンド。主に業界・企業研究を担当し、投資判断の意思決定を支援するほか、研究を通じて投資先企業の価値向上(バリューアップ)に寄与している。

ショート動画で日本勢は活躍できる

――中国人は化粧品をどこで知り、どう買うのでしょうか。

片矢 消費者は、ショート動画SNSのDouyin(ドウイン、中国版TikTok)で商品を知るのが非常に多いです。われわれの調べによると、インターネットの利用時間は月平均164時間。そのうち3分の1(約55時間)はショート動画SNSを閲覧しています。ドウインの視聴割合は67%で、断トツ。以前は、ショート動画SNSで都市部に浸透するドウインと地方に強い快手(クアイショウ)という時代がありましたが、いまはドウイン一強になりつつあります。ドウインでの情報発信を強化する化粧品ブランドが増えているのは、消費者に出会い、興味関心を引き出し、購買してもらう一連の仕組みがワンセットになっているからではありません。消費者はドウインで知った商品を中国版インスタグラムと呼ばれる「小紅書(RED)」でも調べます。家族や友人の評価も気にします。このような多様な情報を得て商品の価値に納得したら、次はどこで買うかを考えます。ドウインで買うか、ブランドの天猫(ティーモール)旗艦店やリアル直営店で買うか、を決めるのです。つまり、今の中国では、ドウインを中心に情報取得から購買までのプロセスがオムニチャネル化しているということです。ですから、勝ち組の化粧品ブランドは、一人のブランドマネージャーが全チャネルを俯瞰して管理し、全体最適化を図っています。ドウインのプロモーションコストが高くて赤字でも、他のプラットフォームで利益を確保する、というやり方ですね。

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