6月にアイスランドを訪れる機会があった。ロンドンから飛行機で北へ3時間。ノルウェーとグリーンランドの間に位置し、国土の一部は北極圏に含まれる。夏は白夜、冬はオーロラが見られることでも有名だ。同国は、2008年のリーマンショックをきっかけに金融バブルがはじけ、それまでの金融立国政策からの大転換を余儀なくされたこと、今では観光立国となっていることは聞いていた。実際当地に足を踏み入れてみると、火山などの自然資源を活用したイノベーションが着々と進み、興隆している産業は観光だけではなかった。

まず、ふんだんな地熱が再生可能エネルギーの源としてフルに利用されていることを実感する。地域暖房と温水は一般住宅にも商業施設にも非常に安価に供給され、光熱費軽減に加えCO2排出削減にも寄与している。スーパーをのぞけば、日照時間が極端に変動する厳しい気候にもかかわらず、バイオ農業による温室育ちの新鮮な「地元産の野菜」があふれ、グルメ加工品の生産やAIが管理する水産養殖が盛んな様子もうかがえる。

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