6月半ば、ブリュッセルで開催された、ヨーロッパの化粧品業界団体である欧州化粧品協会(Cosmetics Europa)の年次総会では、「多様性、公平性、インクルージョン(DEI)―化粧品業界の課題と機会」というセッションがあった。そこで議論されたのは、化粧品業界でも「多様性」へのニーズに適切に対応できなければ、ビジネス上のリスクになりかねないということだ。

米国の化粧品ブランド「ユースフォリア(YouthForia)」は肌に優しく持続可能で、遊び心のある商品を作ることで知られる。しかし同社は、昨年9月、南スーダン生まれの米国のTikTokインフルエンサー、ゴロリア・ジョージに動画で酷評された。彼女の肌に合う色のファンデーションがなかったからだ。同社は今年3月、新たに10色のファンデーションを発売した。だが、最も濃い色の製品は、黒塗り用フェイスペイント並みに暗く、そのような肌の人が本当にいるか疑わしいほどだった。それを顔に塗ったジョージが、差別的な同カラーの販売を停止すべきだと訴えるTikTok動画は、4200万回以上再生され、同社は非難の的となった。

黒塗りのフェイスペイントを右頬(写真左)、ユースフォリア社の黒いファンデーションを左頬に塗る、インフルエンサーのゴロリア・ジョージ
写真:@Golloria/TikTok

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