ファイントゥデイは2022年4月から、ヘアケアブランド「フィーノ」において医療用ウィッグプログラム「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」を始動している。同プログラムが2年目を迎え、ヘアドネーションの認知が高まりつつある中、メディア向けセミナー「一歩先のステージへ。医療用ウィッグやヘアドネーションのいまを専門家と一緒に考えよう」を6月27日に都内で開催した。

セミナーでは、NPO法人全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)の赤木勝幸理事長が医療用ウィッグの現状と課題について講演した。女性用医療用ウィッグ市場は、婦人科系がん患者を対象とした推計だけでも年間10万6000個規模で年々拡大。がんと闘病しながら働く人が32万人を超えている社会背景もあり、医療ウィッグは、抗がん剤治療の副作用による脱毛症や無毛症の方々のアピアランス(外見)サポートとして、重要な役割を担っている。

一方で、アピアランスサポート自体の認知度が低いことや、ヘアドネーションが大人用に対応できていないこと、折り返して植えるために長い髪が不足していること、ウィッグ製造費用のコストが上昇していることなどが課題となっている。

赤木理事長は「アピアランスサポートは、ご家族や医師、看護師とともに、患者さん本人のやりたいことや、なりたい姿の実現に向けて最後まで支援していくことです。たくさんの方々に知っていただき、サポートの輪が広がってほしい」と語った。

「フィーノ」が取り組む「HAIR TOUCH YOU」は、医療用ウィッグを取り巻く現状を「知る」、ヘアドネーションに「参加する」、ウィッグを製作して「届ける」ことを通して、ドネーションをした人たちやレシピエント、美容師、医療従事者らの想いを見える化し、つないでいく仕組みを作る社会貢献プログラムだ。

ファイントゥデイの赤阪裕実ブランドPRマネージャーは「HAIR TOUCH YOU」に取り組む思いについて、「医療用ウィッグが直面する課題を知ってもらうとともに、医療用ウィッグが手に入りやすい状況をつくりたい。ヘアドネーションを身近に感じてもらうきっかけづくりが重要です」と話した。

これまでに「fino ウィッグBank」の取り組みにおいて、オリジナルドネーションキットを配布し、675人(23年5月末時点)からドネーションが届いた。全国37店舗のサロンも、オリジナルドネーションキットの受け取りやヘアドネーションカットに協力。さらにクリエイターの辻愛沙子氏と牧野圭太氏を起用したクリエイティブを制作するなど、ヘアドネーションの認知・理解に向け発信を続けている。

7月3日からは新キャンペーン「#髪からはじめるちょっといいこと」をスタート。「#fino_髪からはじめるちょっといいこと」のハッシュタグをつけて、ヘアドネーションへの想いや髪を伸ばしているときの楽しみ、こだわりを投稿すると、抽選で「フィーノ」のヘアマスクとヘアオイルのセットがもらえる。8月下旬には、小学生の親子を対象として、医療用ウィッグとヘアドネーションの仕組みを学ぶワークショップも開催する。

また、ファッションを通じてサステナブルな活動を行う早稲田大学の学生団体「Rethink Fashion Waseda」もプログラムに参加。SNSでの発信力やZ世代の感性を生かし、ともに取り組みを盛り上げていく。

月刊『国際商業』2023年09月号掲載