韓国とフランスの差が開く


日本輸入化粧品協会は2023年5月9日に同年1月~3月期の化粧品輸入実績を発表した。歯磨、石鹸等は除く輸入実績は、856.0億円(前年同期737.1億円、前年同期比116.1%)となり、前年を上回った。

今期は「香水・オーデコロン類」(同148.7%)、「カラーメーキャップ類」(同115.3%)、「ベースメーキャップ化粧品類」(同141.6%)、「皮膚用化粧品類」(同114.8%)はいずれも前年を上回ったが、「頭髪用化粧品類」(同99.6%)は前年とほぼ同額だった。国別では、首位の韓国は、輸入実績217.6億円(同175.0億円、同124.4%)と依然好調。続いてフランスが輸入実績189.2億円(同170.8億円、同110.7%)となっている。(韓国シェア25.4%VSフランスシェア22.1%)。

2023年4月の全国財務局長会議における経済情勢判断では、物価上昇や海外経済減速等の影響が見られるものの緩やかに持ち直しており、特に外出機会やインバウンド客の増加により個人消費が好調としている。

カラーメーキャップ化粧品類で中国が存在感を示す


(1)香水・オーデコロン類

全体で80.8億円(同54.3億円、同148.7%)と、前年を大きく上回った。この分野ではフランスが64.8%と圧倒的なシェアを占めている。今期も実績は52.4億円(同36.2億円、同144.4%)と伸長した。第2位イギリス6.1億円(同3.7億円、同164.6%)第3位イタリアも5.5億円(同3.3億円、同166.4%)と増加している。

(2)カラーメーキャップ化粧品類

全体では、124.3億円(同107.8億円、同115.3%)となり、前年を上回った。口紅類は41.0億円(同32.2億円、同127.1%)、アイメーキャップ類は62.4億円(同59.5億円、同104.8%)、ネールズ類は21.0億円(同16.0億円、同130.9%)といずれも伸長している。

国別では首位の韓国34.1億円(同33.2億円、同102.7%)は変わらずも、2位に中国31.1億円(同23.2億円、同134.3%)が躍進し、フランスは26.2億円(同28.4億円、同92.2%)の3位となった。4位アメリカ14.9億円(同7.7億円、同192.8%)、5位イタリア7.4億円(同6.3億円、同118.3%)とも前年を上回っている。なお、韓国、中国、フランスの上位3カ国で全体シェアの73.5%を占めている。

詳細に類別に国別に見ると、口紅類は、1位の韓国は14.5億円(同10.5億円、同138.5%)と前年を大きく上回った。2位フランスは13.7億円(同13.5億円、同101.1%)とほぼ同額で、3位の中国は4.2億円(同2.2億円、同185.9%)と伸長している。

眼の周りのアイメーキャップ類は、首位の韓国は18.8億円(同21.4億円、同87.6%)と前年割れとなった。2位の中国は17.4億円(同13.1億円、同132.8%)と大きく伸長しているが、3位のフランスは6.6億円(同11.5億円、同57.4%)と大きく減少した。上位3カ国で全体の約7割(68.6%)のシェアを占めている。

ネールズ類では、1位中国9.5億円(同7.8億円、同121.9%)、2位フランス6.0億円(同3.4億円、同173.8%)、3位アメリカは2.7億円(同1.7億円、同159.5%)となっている。

(3)ベースメーキャップ化粧品類

全体では、113.5億円(同80.2億円、同141.6%)となり、前年を大きく上回った。国別では韓国が77.6億円(同45.8億円、同169.4%)と引き続き好調で、ベースメーク類のシェアの7割近く(68.4%)を占めている。次いでフランス17.0億円(同15.6億円、同108.8%)、イタリア6.6億円(同6.6億円、同100.1%)、アメリカ6.5億円(同4.6億円、同142.1%)、中国3.0億円(同2.6億円、同115.3%)と続く。

(4)皮膚用化粧品類(ボディ含む)

全体では、273.0億円(同237.8億円、同114.8%)となり、前年を上回った。この分野でトップのフランス81.5億円(同76.8億円、同106.1%)、第2位の韓国76.3億円(同62.6億円、同122.0%)、第3位のアメリカは50.0億円(同44.2億円、同113.2%)といずれも前年を上回った。この3カ国で、全体の8割近くのシエア(76.2%)を占めている。4位のイギリスは8.2億円(同6.6億円、同125.0%)と伸長している。次いでドイツ5.4億円(同4.6億円、119.2%)、中国5.2億円(同3.9億円、同132.1%)と続いている。

(5)頭髪用化粧品類

全体で142.9億円(同143.4億円、同99.6%)と前年とほぼ同額。この頭髪用化粧品類では、他の美類と異なり他国の実績合計が、88.0億円(同92.7億円、同95.0%)で全体の61.6%を占めているのが特徴。この分野で代表的なシャンプーとコンディショナー・整髪料の実績で見ると、とりわけタイが、シャンプーでは23.6億円(同27.5億円、同85.9%、シャンプー全体の60.8%)、コンディショナー・整髪料では41.7億円(同43.7億円、同95.4%、全体の40.4%)となり、これら2品目の輸入実績が他国を圧倒する状況となっている。その他の国では、中国13.7億円(同11.6億円、同118.4%)、アメリカ12.5億円(同11.5億円、同108.8%)、韓国9.5億円(同10.8億円、同87.9%)と続いている。

なお、次回は、2023年8月に2023年の上半期(1~6月)の実績を公表予定である。

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月刊『国際商業』2023年07月号掲載