ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社の池島俊季研究員が、第18回日本感性工学会春季大会において優秀発表賞を受賞。同大会は2023年3月6~7日にオンラインで開催された。

受賞した内容は、「聴覚刺激が心理状態を介してスキンケア製品の触感に与える影響」(口頭発表)。ヒトの心理状態が味覚などの感覚に影響することは明らかで、化粧品の使い心地や継続意向において触り心地は大きな影響を与えるため、「触覚以外の感覚による心理状態の変化」と「感触の感じ方」の関係を明らかにしたいと考えたことが研究のきっかけ。

具体的には、音楽や画像を介して被験者の心理状態に働きかける試験を行い、美容液を例にその時の感触の感じ方を細かく調べた。

解析の結果、「心地よい」「高級感」といった感情に近い言葉で表される触感と、「柔らかい」は、音や画像の有無や種類を問わず心理状態そのものに応じて感じ方が変化することが判明。さらに、「なめらか」「ざらざら」といった摩擦系の感触は、音楽によって感じ方が変わった。

一方、「温かい」「冷たい」といった温度系の感触は、画像を提示したときのみ感じ方が変わった。これは、「摩擦の感じ方は聴覚に影響され、温度の感じ方は視覚に影響される」ことを示す。また、音楽のどの要素がどのような影響を発揮するのかを解明することにも成功している。

池島氏は「今回、スキンケア製品の触感が、体験するヒトの状態や外部刺激によっても変わり得ることを明らかにしました。化粧品は触り心地だけでなく、総合的な体験が重要です。今後ますます重要になっていく化粧品の感性領域に関する研究を進めて、お客さまにより心地よく、満足いただける製品を提供できるよう邁進します」とコメントしている。