東色ピグメントは、栃木県矢板市に立地する矢板工場の新棟落成披露式を4月18日に同棟で開催した。既存の矢板工場に隣接する新棟は、敷地面積2万450平方メートル、延床面積は8480平方メートル。既存工場と合わせると敷地総面積3万1465平方メートル、延床面積は1万2770平方メートルとなり、同社最大規模の生産施設となる。約30億円を投資した新棟では、スキンケア、メイクアップ、ヘア関連製品を中心に生産する。2階層から成り、1階が製造エリア、2階は間接エリアとなる。製造エリアは、一般環境ゾーン、一般作業ゾーン、クリーンゾーンの三つのゾーンから成り、バルク製造、充塡作業はクリーンゾーンで行うことになる。同施設が本格稼働することで液物バルク生産量、充塡量とも従来と比較し最大4倍まで拡大することが可能だ。

同社では、これまで宇都宮(栃木県)、岡山(岡山県)、矢板の3工場体制を敷いてきたが、主要顧客からの受注増で生産がひっ迫。仕上げ工程をアウトソースするケースが増えており、自社の品質管理を徹底するという点では課題も生じていた。国内外からの大型案件の受注が拡大していることもあり、その課題解決が喫緊の最重要項目となっていた。今回の新棟開設により、バルク製造から充塡・仕上げまで一気通貫で行える体制が整うことになる。

また、化粧品の製造において求められている省力化、省人化、自動化につながるシステムや機械の導入を見越し、通路や設備の間隔は既存工場よりも広くしている。

新棟のコンセプトは、“Clean” “Creative” “Continuous” “Competitive”の頭文字から成る「4C」に設定。インパクトがあること、リーズナブルであること、フレキシブルであること、環境変化を踏まえたエネルギーコントロールがされていることの四つの理念を掲げ、次世代を見据えた生産工場を目指していく。

工場内でも、オンとオフの切り替えが重要との考えのもと、更衣室はロッカー間の間隔も幅広くとり、ゆったりとした空間を確保。また、化粧品を製造する工場で働く人たちに化粧する場を提供することが必要と考え、女性スタッフのためのパウダールームも設置。生産スペース以外でも従業員の働きやすさを軸に今後を見据えた様々な配慮をしている。

冒頭あいさつに立った鴫原靖宏社長は、「工場は製品を作る舞台。この新たな舞台を活用できれば、必ず結果を出すことができます。本日を機会に、我々社員一同、CMS企業としての基本的な考えをまとめた東色ポリシー2020を実践していくという決意を新たにする所存です。その舞台に必要な設備を、このような状況下ではありますが、引き続きリーズナブルに提供していただければ幸いです」と語った。

東色ピグメントでは、新棟開設に合わせ、矢板工場公式のインスタグラムも開設。同工場の従業員がインスタグラムで職場の魅力を発信。「これを見て応募してくれた人もいる」(鴫原社長)と人材確保につながっているという。SNSでの発信のほか、ローカルテレビ局でのCM投入などでの人材確保も進めていく。

矢板工場公式のインスタグラム

月刊『国際商業』2023年06月号掲載