花王は、合成香料「Methyl DihydroJasmonate (メチル ジヒドロ ジャスモネート、以下MDJ)」の欧州市場シェアナンバーワン維持・拡大に向けて、スペインのKao Chemicals Europe オレッサ工場に生産設備を増設すると発表した。MDJは、みずみずしいフローラル(ジャスミン)の香りを付与し、幅広くコンシューマープロダクツ製品に使用される基幹香料原料。2021年の推定市場規模は2万トン。

他素材との親和性が高いため幅広い製品に使用されるMDJは、最大の市場である欧州の需要が堅調で、グローバル年平均成長率を4%と見込んでおり、花王は01年からスペインでMDJを生産している。

そうした中、同社は、欧州市場を中心として、さらなる需要拡大に対応するために新設備を増設を決断。新設備の生産能力は既存の倍以上を見込んでおり、22年12月完成、23年初めの稼働を予定している。

新設備には独自開発技術の製造法を採用し、生産性向上とCO2排出量の年間2000トン削減、塩分を含む排水の100%(年間850トン)削減による排水処理エネルギーの低減などを実現する。欧州のエシカルな動向や環境規制への対応が可能な高い技術と安定供給能力により、さらなる事業の強化を目指す。