マンダムは5月8日、大阪大学大学院薬学研究科 先端化粧品科学(マンダム)共同研究講座の岡田文裕招へい教授、蛋白質研究所寄附研究部門の関口清俊教授の研究グループが、ヒト汗腺筋上皮細胞の不死化による細胞株の樹立に成功したことを発表した。
ヒト汗腺を構成する細胞の内、筋上皮細胞は汗腺の収縮を司る細胞であり、また汗腺の機能を維持する幹細胞としての機能もある。このヒト汗腺筋上皮細胞の機能を制御する成分を同定できれば、新しいアプローチの制汗剤の開発、さらには多汗症や熱中症の予防法、治療法の開発にもつながる。その研究には多くのヒト汗腺筋上皮細胞が必要となるが、これまでのヒト汗腺細胞の細胞株はヒト汗腺筋上皮細胞の性質を保持していなかった。
同研究グループは、これまでヒト筋上皮細胞の性質を短期的に維持する方法を確立しており、今回この手法をさらに応用して不死化遺伝子を導入することで長期の培養が可能な不死化ヒト汗腺筋上皮細胞(immortalized human Eccrine sweat gland Myoepithelial Cell 〈iEM cell〉)の樹立に成功。
この成果により研究が加速することで、次世代制汗剤の開発や多汗症や熱中症の予防法、治療法の早期確立、あるいは汗腺の再生技術の確立につながることが期待される。
同成果は特許出願し、第49回欧州皮膚科学会(フランス、2019 年 9 月 18~21 日)で発表。また、今回樹立したiEM cellの有用性が認められ、iEM cellの委託販売について、マンダムは Applied Biological Materials 社とライセンス契約を、マンダムと国立大学法人大阪大学はロイヤリティに関する覚書を締結した。さらに、今回のライセンス契約に MTA(Material TransferAgreement)が含まれていることにより世界各国へのiEM cellの譲渡が可能となった。