ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担う、ポーラ化成工業は、気圧の変化が引き起こす血流停滞による「気圧くすみ」に着目し研究した結果、「ローマカミツレエキスが、血管平滑筋細胞のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の上昇を調整し、血管収縮を抑制すること」を発見したことを4月10日に公表した。これにより、血流の停滞を予防し「気圧くすみ」が起こりにくい肌に導くことができると期待され、この知見はポーラ・オルビスグループの商品やサービスに活用される予定だ。

同グループのポーラでは、これまでに気圧低下が顔のくすみに関係することを発見し、「気圧くすみ」として報告している。「気圧くすみ」の原因は、気圧変化により体が影響を受け、血流が滞ることにあると考えられている。気圧変化が繰り返されると、自律神経が乱れ交感神経の活動が優位になるため、抹消の血管は収縮してしまう。その結果、末端の血流が停滞し、肌がくすんでしまうと考えられていた。

しかし、気圧の変化は気象状況と密接に関わるため、日常生活の中で管理することは容易ではない。そこで、ポーラ化成工業では、血管収縮に働きかけることで「気圧くすみ」を効果的に防ぎたいと考え、研究を進めた。

研究では、血管が収縮する際に働く血管平滑筋細胞に着目。血管は、血管平滑筋細胞内のCa2+濃度が高まることで収縮する。そこで、血管平滑筋細胞でのCa2+濃度の上昇を抑制するエキスを探索。あらかじめエキスを添加して培養した細胞に対し、Ca2+濃度が高まる試薬を加え、その前後のCa2+濃度の増加量を評価したところ、ローマカミツレエキスにCa2+濃度の上昇を抑制する作用があることを発見した。

このことから、ローマカミツレエキスは、血管収縮を抑制することで血流停滞を予防し、気圧変化が続いても「気圧くすみ」が起こりにくい肌へ導くことが期待できるという結果に至った。