食品や化粧品などの消費財業界では、消費者ニーズの多様化に対応した小ロット多品種で製造した品目が増え、これらの商品特徴をアピールできるラベル印刷の需要が高まっている。その需要を取り込むべき、沖電気工業の子会社でプリンター事業を手掛けるOKIデータは商品ラベル印刷のデザインの幅を広げる幅狭カラーLEDラベルプリンター専用機「Pro1050」「Pro1040」を6月上旬に発売する。

 

 

 

 

 

それに先駆け5月24日に新商品発表会を開催。OKIデータの波多野徹社長は、「当社が持っている技術を生かし、普通紙の他、合成紙や透明フィルム、厚紙など様々なカラーラベル印刷に対応することでニッチな市場を掘り起こしたい。同機をベースに販売先や技術を培って、インダストリーに基軸をシフトするための橋頭保としたい」と力を込めた。

OKIデータの波多野徹社長

 

 

 

 

 

 

今回同社がインダストリー(産業・工業用)市場に力を入れるのは、オフィス用のプリンター市場が伸び悩んでいるためだ。オフィス用紙のペーパーレス化や電子化が加速してプリンター複合機の台数は減少傾向にある。その一方で特定の業種・市場を狙うインダストリーのラベル市場は19年に6355億円まで拡大する見込みだ。特に海外ではチョコレートやビールなどでデザイン性に優れたカラーのラベル印刷が一般的に普及しており、足元の国内市場でも地ビールやOEMで製造した化粧品などでデザイン性に優れたカラーラベル印刷への要望は高まっている。そうした状況にあってOKIデータでは強みである、高精細印刷に加え、「Pro1050」では特色ホワイトカラーを搭載することで、透明フィルムや色付きラベルへの多彩な印刷表現を実現する。またインクジェットプリンターに比べ、専用ラベルを必要としないため印刷コストを下げ、中長期的にはトータルコストも削減できる。

 

化粧品のボトルのラベル印刷に最適だ

ビールやジャムのボトル印刷に最適だ

 

 

 

 

 

 

 

新商品は、4色トナーモデル「Pro1040」と、特色ホワイトを加えた5色トナーモデル「Pro1050」の2機種をラインアップ。主に「Pro1050」はカラーラベルへの印刷を実現し、商品の容器に貼る商品ラベルの幅を広げる。「Pro1040」は工場や倉庫の現場の化学薬品などでこれまでモノクロ印刷を使用していたラベルをカラーにすることで視認性の向上が期待できる。またLEDのラベル印刷は耐光性や耐水性で優れていることから、流通などでの屋外のカラーのラベル印刷にも最適だ。OKIデータのインダストリー事業本部スペシャルティプリント事業部の福島浩之部長は、「国内では薬品の注意識別をするためのラベルのカラー化の促進や、多品種製造をしているOEMの化粧品での詰替容器に提案していく」意向だ。

 

同社では2機種合わせて、海外ではヨーロッパや米国を中心に1700台、国内が300台の合計2000台の販売を目指す。米国では現地のパートナー企業と組み、各地域の市場特性に合わせた販売に注力する構えだ。

詳しくは激流8月号(7月1日) https://www.kokusaishogyo.co.jp