ベビーケア市場の拡大は止まらない

中国におけるベビーケア製品の市場はここ数年で急速に発展しており、今後の5年間、引き続き高い成長率を維持するだろう。

ミンテル(Mintel.com)による最新の調査によると、中国の赤ちゃんは以前と比べて、とても丁寧なケアを受けている。過去5年の間、家族計画政策の緩和と消費の成長により、中国のベビーケア製品の市場は急速な成長を遂げた。市場における売上規模は2013年から18年までの間、年率19%の成長率を維持し、急速な拡大を続けている。18年には、驚くべきことに年間で96億1700万元に達した。

また、中国におけるベビーケア製品の市場は、今後もこの高い成長の勢いを維持すると予想される。今後の5年間、市場の売上規模は14.5%の年平均成長率で着実に成長を続け、23年には188億8800万元に達するだろう。

中国のベビーケア製品の市場における細かい品目を見てみよう。ミンテルの調査によれば、18年の市場において最も大きな割合を占めた品目は、ベビー用のスキンケア製品で、全ベビーケア製品市場の60%だった。ベビー用のボディシャンプーとソープがそれに次ぐ第2位で、全ベビーケア製品市場の31%を占めている。第3位はベビー用の洗髪シャンプーで、市場の10%を占める。

ミンテルの調査アナリスト・周文棋は次のように語る。

「中国におけるベビーケア製品の市場は、過去数年の間、急速な成長を遂げており、今後の5年間、引き続き高い成長率を維持するでしょう。家族計画政策の緩和と消費の成長、消費者の高品質なベビー向け用品に対する強烈な購入意欲が、いずれも市場の成長を促しました。出生率の緩やかな低下が市場の成長にとって不利に働くとしても、一人一人の子どもに費やされる消費額は増加し、購入の頻度を増す傾向にあり、市場の成長を補うでしょう」

日やけ止め製品が伸び悩む理由

製品の使用頻度についていえば、ベビー用の虫除けリキッドが勝者だ。使用頻度が最も増加した品目となった。0~3歳の子どもがいる20~39歳の中国人の消費者のうち、47%にのぼる人々が、過去1年間にベビー用の虫除けリキッドの使用頻度が増えた、と答えた。また、ほぼ半数(46%)の中国人の消費者が、過去1年間にベビー用ボディシャンプー/ローションとベビー用保湿ジェル/ローション/クリームの使用頻度がそれぞれ増えたとも答えており、中国において消費者による使用頻度が最も大きく変化したベビーケア製品の3大品目となった。

これと対照的なのが、ベビー用日やけ止め製品の使用頻度の増加率が最低だったことだ。過去1年間に、この種の製品の使用頻度が増えた、と答えた中国人の消費者は15%にとどまる。日やけ止め製品はベビー向けとしてはあいかわらずニッチな製品であり、5分の3以上(65%)の消費者が過去1年間に一度もベビー用日やけ止め製品を使わなかった、と答えている。周文棋は説明する。

「私たちの調査によれば、過去1年間に、ベビー用の虫除けリキッドの使用頻度が増えた、と答えた消費者の比率が最高になりました。これは親がこれまで以上に赤ちゃんを連れて外出するようになり、赤ちゃんの肌をケアする製品を使用していることを表しています。各製品のブランドにベビー用ケア製品を使用するシーンをつくり出す機会を与えるもので、アウトドアは良いきっかけとなるでしょう。また、ベビー用日やけ止め製品の低い浸透率は、消費者がいまだに使い慣れた製品にこだわっており、日やけ止め製品を使って日光の照射を防ぐという意識をまだ持っていないことを示しています。そのため、ベビー用日やけ止め製品のブランドは、親に対して安全性に関わる情報を伝え、赤ちゃんの肌を保護する製品の有効性を証明する必要があるでしょう」

高品質であれば、価格は気にしない

ベビー向けの製品について、親が最も大切な要素と見ているのが赤ちゃんの肌だ。ミンテルの調査によれば、「赤ちゃんの肌の問題を解決」(71%)と「肌に対して有効な成分」(68%)が、中国人の親がベビーケア製品を購入する時に最も喜んで高い金額を支払うキャッチコピーだった。また、中国人の消費者がベビーケア製品を購入する際、3分の1を超える(34%)の消費者が最も悩むのは「どんな製品が赤ちゃんに最適か」という問題であり、32%の消費者は「使ったことの無い製品は試す勇気がない」と答えた。その他、さらに29%の消費者は製品に含まれている成分とそれぞれのブランドの特徴がよく分からないと考えている。周文棋は次のように言う。

「ベビーケア製品の細かい品目における市場は、消費が今後必ず上昇する領域です。親はこれまで以上に高い品質の製品に関心を持っており、さらに高い価格を喜んで支払います。特に肌トラブルを解決する製品もしくは肌に有効な成分を含んだ製品です。これは中国人の親が赤ちゃんの肌トラブルを解決したいという切迫した願いを持っていることを表しています。しかし同時に、親はよく知らないベビーケア製品を軽い気持ちで試したいとは思っていません。そのため、ベビーケア製品は製品の特徴を明確にし、単純な洗浄もしくは保湿といったものから、赤ちゃんの肌のケアと保護へと向かう必要があるでしょう」

(記事:中国の化粧品業界紙『化粧品報』/協力:日中化粧品国際交流協会)