資生堂は、2018年12月期通期業績を公表した。売上高は前年比8.9%増の1兆948億2500万円、営業利益は34.7%増の1083億5000万円、経常利益は36.3%増の1094億8900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は169.9%増の614億300万円と増収大幅増益、各段階とも過去最高を更新した。

売上げは、戦略的に投資強化を続けているプレステージ領域が牽引したことに加え、クロスボーダーマーケティングによる売上げ拡大、日本発のコスメティクスブランドの成長継続などが業績を押し上げた。

利益面では、収益性の高いプレステージブランドなどの好調によるコスト構造の改善などで営業利益、経常利益とも2桁増となった。コストに関しては、原価、人件費、成長の源泉となるマーケティング投資、ブランド・研究開発投資の構成比が高まっており、理想的なコストストラクチャーに近づきつつある。

親会社株主に帰属する当期純利益は前期に特損に計上したベアエッセンシャルにかかる無形固定資産等の減損損失がなくなったこともあり3桁増となった。

事業別では、日本事業がマーケティング投資を強化してきた中高価格帯のブランドが好調を継続したことで日本の顧客の売上げが拡大したことに加え、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により訪日外国人向けのインバウンド需要を確実に獲得したことなどにより9.0%増の4546億円。マーケティング投資を強化している一方、売上増に伴う差益増や原価率の低減などが寄与し、16.9%増の914億円と堅調な推移を示した。

中国事業は、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「イプサ」「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続したことに加え、コスメティクスブランドでは〝メイド・イン・ジャパン〟ブランドである「エリク シール」「アネッサ」が大きく伸長。一方、Eコマースは、プレステージやコスメティクスの商品を積極展開したことに加え、デジタルを活用したマーケティングの展開や、中国のネット通販大手との協業の強化などにより大きく成長。これらの結果、売上げは32.3%増の1908億円、営業利益は116.4%増の245億円と大幅な増益となった。

トラベルリテール事業は、世界各地の空港での広告宣伝など積極的なマーケティング投資の効果により、韓国、中国、タイなどアジアを中心に「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「NARS」「アネッサ」が前年を大きく上回る伸長を継続。また、成長加速に向け、新ブランドの導入や店頭対応力の向上に取り組んだほか、大手オペレーターとの関係強化にも努めた結果、売上高は円換算後で34.7%増の876億円となった。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、17.0%増の176億円だった。

そのほかアジアパシフィック事業の売上げは円換算後で13.9%増の681億円、営業利益8.7%増の78億円、米州事業は売上げが円換算後で1.8%減の1317億円、営業損失148億円、欧州事業は売上高が円換算で4.3%増の1132億円、営業損失80億円、プロフェッショナル事業はZotos社譲渡による影響で売上高57.6%減の203億円、営業利益72.4%減の8億円だった。

2019年12月期通期業績は、売上高7.0%増の1兆1720億円、営業利益10.8%増の1200億円、経常利益9.6%増の1200億円、親会社株主に帰属する当期純利益は23.0%増の755億円を見込んでいる。