エステーの鈴木貴子社長は、年頭訓示で、19年3月期第2四半期の微増収大幅減益は「これで良かった」と指摘。ピンチをチャンスに。環境変化にビクともしない、強い経営基盤をつくる、と語りました。

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新年あけましておめでとうございます。

社長に就任してまもなく、「経営とは、ジェットコースターの操縦だ」と思いましたが、昨年はまさにジェットコースターの1年でした。 71期の決算発表で、過去最高の経常利益と最終利益を更新したのはつい昨日の事のようですが、5月頃から潮目が急激に変わり、72期上期は一転して微増収大幅減益に陥りました。入社以来増収増益しか知らない若い社員の皆さんにとっては、さぞショックだったと思います。

私も最初は驚きました。しかしながら、率直に「これで良かった」と思いました。71期まで業績は上昇気流に乗っていましたが、伸長していたのは国内既存事業であり、人口減少が進む国内市場では今後の飛躍的成長は望めません。一方で本来大きく伸ばすべき新分野・新市場は長らく停滞したままでした。社内の危機感はどんどん失われていたのです。しかし、この冷酷な上期決算を突き付けられ、聡明な社員の皆さんははっきりと理解しました。既存分野に頼っていては、もはや下降の一途です。

エステーの鈴木貴子社長

業績の陰りは当社のみならず、昨年後半は流通業全体に一部の勝ち組を除いて前年割れが出始めました。さらにクリスマスには世界的な株安連鎖で日経平均は2万円を割り込み、激動の年明けを迎えました。昨年を表す漢字として「災」が選ばれ、一方で安倍首相は起承転結の「転」の字を選びましたが、私は 2019 年は「災い転じて福となさねば」と固く決意しています。今こそ事業ポートフォリオを組み替え、「環境変化にビクともしない、強い経営基盤を構築する」時です。

幸いなことに、私たちには強いブランドがいくつもあります。また当社には流通の皆様から愛される強い営業も揃っていて、昨年末の首都圏化粧品日用品卸組合のアンケートでは、ついに3年連続で総合1位をいただきました。さらに今年からはエステーマイコール社がグループ会社として本格稼働し、新分野や海外にサーモケア製品を広める体制が整いました。

私たちの強みを活かして、原資となる利益を国内既存分野でしっかり稼ぎ出し、新分野・新市場に投資して大きく飛躍していきましょう。「脱皮は時間をかけても着実に」全社で危機感を共有し、気持ちを引き締めてまいりましょう。今年もどうぞよろしくお願いいたします。