小林製薬は、特定非営利活動法人(NPO)バイオメディカルサイエンス研究所と協力し、殺菌消毒成分の“ヨウ素”に、喉から感染するウイルスを幅広く殺菌できる効果を確認した。また、同研究成果は学術誌「日本防菌防黴学会誌」(2018年4月号)に掲載された。
のどはウイルスが感染するルートの一つであり、感染すると喉に痛みや腫れが起こり、悪化すると発熱などの全身症状に繋がる。のど風邪の8割以上がウイルスに起因すると考えられているため、様々なウイルスに効果のある殺菌消毒剤が求められている。
ヨウ素は、ワカメなど海藻類にも多く含まれる天然成分で、古くから殺菌消毒に使われてきたが、今回の研究では、のどから感染する代表的なウイルス5種類(インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス)に対して、ヨウ素の殺菌効果を確認した。
近年、抗生物質の不適正使用による薬剤耐性菌の出現が大きな社会問題となっており、17年6月には、厚生労働省が「風邪には抗生物質を使わないことを奨励する」という手引きを出して警鐘を鳴らしている。
これに対してヨウ素は、細菌やウイルスのタンパク質を変性させて死滅させるという抗生物質のメカニズムとは異なり、細菌やウイルスを包む膜(タンパク質)の性質を変えて殺菌するため、薬剤耐性菌を作らないというメリットがある。
同社は今後も、使用感や効果実感の向上を目指したヨウ素剤の進化や、さらに使いやすい容器や使用の開発にも挑戦していき、殺菌消毒に関するヨウ素の有用性を浸透させていく。