「再生医療」を提供するために必要な細胞加工物の製造・加工、輸送、細胞保管などのトータルサポートを行っているセルバンクは、2026年4月8日に説明会にて最新ニュースや身近な活用から再生医療を読み解き、改めて再生医療とは何か、医療や美容の現場でどのように活用されているのかを解説した。

例えばやけどで皮膚が欠損した場合、従来であればやけどを負っていない健康な皮膚を切り取りやけどした箇所に移植する「植皮術」が用いられていた。しかし、全身にやけどを負うなどして健康な皮膚を持ってくることができないこともあり、植皮術には限界があった。

そこで登場したのが再生医療だ。健康な皮膚の細胞の一部を培養し「培養皮膚」を作製し、移植を行うやり方が登場。このやり方では、切手1枚分の皮膚があれば細胞の培養により全身の皮膚になる量まで増やすことができる。このように少量の細胞を培養し、病気やけがで機能不全になった組織や臓器を人工的に作る先進医療が再生医療である。

3月には、iPS細胞を用いた再生医療製品について厚生労働大臣により条件・期限付き承認が行われ、世界で初めて製造販売が認められた事例として大きな注目を集めている。再生医療は今後も注目度が高まっていくと予想できる。

同社は04年から、真皮線維芽細胞の培養技術を美容クリニックに提供する再生医療支援事業を展開してきた。現在は、再生医療支援を軸に、特定細胞加工物製造事業、細胞保管事業の3事業を柱とし、細胞の製造から供給までを担う体制を構築している。

同社において最も商業的に伸長しているカテゴリーである美容医療分野では、自身の皮膚から採取した細胞を培養し、1万倍に増殖させ、再び体内に戻す「肌の再生医療」を展開。老化によって失われた細胞を補うことで、目の下のくまやほうれい線などの改善を図る治療を推進する。

今後5~10年は、単なる「細胞を安全かつ安価に供給する企業」からの脱却を図り、「再生医療を社会に普及させるエコシステムの中核」へと進化を遂げていく展望を持つ。医療機関に対する細胞供給や運用支援にとどまらず、集患や人材などの経営課題の解決にも踏み込み、再生医療に関わる機能を包括的に提供する方針だ。国内におけるデファクト・スタンダードの確立も視野に入れる。

代表取締役で医学博士の北條元治氏は、同社の位置付けについて「再生医療に使う細胞、すなわち臓器のコピーを作り保管している会社です」と説明。そのうえで「一番大事なものは、細胞の品質、安全性だと思っています」と強調する。品質維持のため、1年間のうち約1カ月は細胞培養室を停止し、約3000万円を投じてメンテナンスを行うなど、徹底した管理体制を敷いている。

現在、再生医療は保険適用のハードルが高く、普及にはコスト面の課題が残る。こうした環境下で同社は、単なる細胞供給企業にとどまらず、医療機関の経営支援まで踏み込むことで、再生医療の社会実装を加速する。