花王ビューティリサーチ&クリエーションセンター(以下、花王BRCC)は、20~60代の女性を対象に、顔の肌のくすみに関する意識調査(25年8月WEB調査20~60代女性1万人。有効回答数は設問ごとに異なる。全ての結果は小数点第二位を四捨五入している)を実施した。その結果、顔の肌にくすみを感じることがある人は8割以上もいることが分かった。さらに、くすみを感じる女性を対象に、その部位や色について調査を続けたところ、くすみを感じやすい「顔全体」「目の下」「頬」に共通して感じる色みは「茶色っぽい」が最多。2番目に多かったのは、「顔全体」は「黄色っぽい」、「目の下」は「黒っぽい」という結果だった。一方で、くすみの原因については、「わかっていない」「あまりわかっていない」と回答した人が半数以上いた。

調査結果

■くすみを感じる頻度:くすみを感じることがあると答えた人は全体の84.7%。年代差は大きくないが、30・40・50代は、くすみを感じる頻度が高い傾向が見られた。

■くすみを感じる顔の部位:くすみを感じる部位(複数回答)TOP3は、「目の下」(52.4%)、「顔全体」(49.4%)、「頬」(43.0%)。最も気になる部位(単一回答)は、1位2位が入れ替わって、「顔全体」「目の下」「頬」の順。

■くすみの色:部位によって、感じている色み(複数回答)は少し異なる結果に。顔全体ではTOP3が「茶色」(50.7%)「黄色」(32.9%)「黒」(19.6%)の順に。目の下では「茶色」(50.0%)「黒」(35.7%)「灰色」(18.4%)の順であった。頬では、2位以下と大差で「茶色」(61.7%)が1位。

■くすみの原因:「わかっていない」「あまりわかっていない」と回答した人が半数以上(52.5%)。原因と思うもの(複数回答)は、年代による違いが顕著。1位に挙がった原因は、20代「睡眠不足」(44.3%)、30代「紫外線/日やけ」(55.3%)、40代以降は「加齢による肌の変化」であった。

■くすみを感じる頻度

20~60代の女性1万人に、自身の顔について、「肌がくすんでいる」と感じることがあるか聞いたところ、頻度を問わず感じることがあると答えた人は84.7%と非常に多いことが分かった。年代による違いは大きくないものの、30代、40代、50代においては、頻度高く(常に・頻繁に・しばしば)くすみを感じる人が6割以上いた。50代においては4人に1人がくすみを「常に感じる」と回答した。

続いて、顔の肌のくすみを「常に」「頻繁に」「しばしば」感じると回答した20~60代女性1200人(各年代240人ずつ)に、くすみに関する質問を続けた。

■くすみを感じる顔の部位

くすみを感じる顔の部位を複数選択してもらったところ、1位「目の下」(52.4%)、2位「顔全体」(49.4%)、3位「頬」(43.0%)という結果に。また、最もくすみを感じる部位(単一回答)の結果は、1位と2位が入れ替わり、1位「顔全体」(34.5%)、2位「目の下」(28.5%)、3位「頬」(20.3%)となった。どの年代も上位3部位は同じだったが、20代は他の年代に比べて「口まわり」を選択する人が多いことも分かった。

■くすみの色

最もくすみを感じる部位について、くすんでいると思う時にどのような色みを感じるか、選択肢の中から複数選んでもらった。その結果、部位によって感じている色みの様子は少し異なっていたので、回答数の多かった3部位(顔全体・目の下・頬)についてグラフに表した。3部位に共通して、「茶色っぽい」と答えた人が最も多く、頬では6割を超えており、他の選択肢を大きく上回った。顔全体では、2番目に「黄色っぽい」、3番目は「黒っぽい」という結果に。目の下では、2番目に「黒っぽい」、3番目は「灰色っぽい」という結果だった。

■くすみの原因

くすみを感じている人に、自身でその原因を分かっているかどうかを聞いた。その結果、「わかっている」と答えたのは全体の1割(10.3%)と少なく、「わかっていない」「あまりわかっていない」と答えたのは全体の半数以上(52.5%)だった。続いて、原因がわかる人(「わかっていない」と答えた人を除く全員)に、自身のくすみの原因について選択肢16項目から複数選んでもらった。表に示すように、年代によって原因と思う項目の順位に違いがあり、20代では「睡眠不足」(44.3%)が最も多く、30代では「紫外線/日やけ」(55.3%)、40代以降は「加齢による肌の変化」が、それぞれ1位を占める結果となった。

これにより、くすみを感じている人は多いものの、自分のくすみの原因をきちんと理解している人は少ないことが分かった。

そもそも肌の「くすみ」とは、皮膚の明度や彩度が低下した状態で、全体的に暗く、疲れた印象を与える。くすみには多様な要因が存在するが、ここでは、メラニンによる色素沈着型の茶色~黒色と、特に糖化による黄ぐすみに焦点を当て、その要因について解説する。

1.メラニン蓄積による色素沈着型くすみ(茶色~黒色)

紫外線による刺激、炎症性反応、物理的摩擦などの外的因子により、表皮基底層に存在するメラノサイトが活性化され、メラニンが過剰に生成される。生成されたメラニンは、ケラチノサイトに取り込まれ、皮膚表面に運搬される過程で、代謝異常やターンオーバーの遅延などにより、表皮内に長期間残存する状態が生じる。これが、肌の茶色〜黒色のくすみとして認識される。主な要因は、紫外線、慢性的炎症、外的刺激(摩擦など)、ターンオーバーの遅延。

2.糖化由来のくすみ(黄ぐすみ)

糖化とは、糖分がタンパク質と結合する反応のことで、肌内でもAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)と呼ばれる物質が生成・蓄積されている。AGEsは、黄色〜褐色の色素を持つため、肌の透明感が損なわれ、黄みを帯びたくすみ(黄ぐすみ)として外観に現れる。花王は、このAGEsが肌の最外層である角層に存在し、特に蛍光性AGEsと呼ばれる物質が肌の黄みに関与していることを、世に先駆けて確認している。主な要因は、加齢、紫外線、過剰な糖分摂取。