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日本化粧品原料協会連合会(JCSA)が主催する第12回化粧品産業技術展CITE JAPAN 2025が5月14〜16日に、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された。3日間で登録者数は1万7276人(14日6553人、15日5828人、16日4895人)、来場者は延べ6万6109人(14日2万1277人、15日2万4732人、16日2万100人)を数え、盛況のうちに閉幕した。

統一テーマに“Next Step for Cosmetic Ingredients & Technology〜The Worldwide New Trend〜”を設定。OEM/ODM、原料、香料、容器包装など、化粧品関連の国内外企業が一歩先の素材や技術を発信した。

イベント初日の開場前にはオープニングセレモニーを実施。主催者であるJCSAの岩瀬由典会長があいさつしたほか、厚生労働省、経済産業省、神奈川県、横浜市といった行政や自治体の化粧品担当者が祝辞や期待を述べた。また、日本化粧品工業会の魚谷雅彦会長、日本化粧品技術者会の吉田克典会長が業界内での原料、OEM分野の重要性や役割、CITE JAPANへの期待を述べた。

原料関連では、国内化粧品原料大手の日光ケミカルズや岩瀬コスファをはじめ、Bフードサイエンス(5月31日付で物産フードサイエンスから社名変更)、山川貿易、高砂香料工業などがブースを設置し、自社の原料やデータ、処方技術を示した。例えば日光ケミカルズは、長年の研究開発をベースにしたさまざまな原料やデータを展示する中で、近年高まる香りニーズにも対応する100%ナチュラルな可溶化剤「NIKKOL NIKKOSOLVE」シリーズを強く発信した。岩瀬コスファは「時空を超える“美”」をコンセプトに化粧品業界で長年活用されてきたロングセラーの原料の新たな知見や研究データ、処方を展示した。Bフードサイエンスは、注目原料の「アクアオール」で実現できるヘアケア、スキンケアのデータや処方を展示。今回は新たに収集した美容師による感触評価のデータを示し、採用した際のメリットを分かりやすく伝えた。海外化学品メーカーのうち、フランスのSILAB North East Asiaは、独特のハリ感を感じられるのが特徴の、ヨーロッパ栗由来の「LIFTILIENCE(リフティリエンス)」を展示。ブース来場者一人一人に丁寧に説明した。

OEM関連では、業界屈指の化粧品OEMが勢ぞろい。統合したTOAとトキワが共同でブースを設置。スキンケアをイメージした水色とメイクアップを想起させるピンクの色調で両者の強みをアピールした。東洋ビューティは浸透性や安定性の高さが特徴のオリジナル原料「両親媒性ビタミンC誘導体」を発信した。東色ピグメントは、新たなパーパスに基づいて「Care Cosmetics」を提唱。既存のカテゴリーにとらわれない三つのCareに分類して製品を提案し、ブースもその理念に基づいたこだわりを示した。


各社が自社の最新の素材やロングセラーの新たなデータを伝えた

今回のCITE JAPANにおいても、展示・紹介される原料、容器・包材、化粧道具、装置、機器、サービス、技術といった展示内容の中から、技術革新性、サスティナビリティ、ユーザビリティなどがより優れているものを選出し表彰する「CITEアワード」を企画。環境、技術の2部門で10社がノミネートされ、その中から金賞、銀賞、銅賞を選出。環境部門では金賞環境部門はテクノーブルの「産官が立ち上がり海も肌も豊かに育む。異業種コラボレーションによる海草コアマモのブルーアップサイクル™」、同技術部門でジェイオーコスメティックスの「サマープルーフUV」、銀賞環境部門で岩瀬コスファの「ウニ状酸化チタンST―750の紫外線防御ブースター効果」、同技術部門でミヨシ油脂の「不揮発性、有効成分の高溶解と浸透促進、高保湿等の機能を持つ化粧品業界では珍しい『イオン液体』のご紹介」、銅賞環境部門では、エボニックジャパンの「泡質と官能特性を向上させるアップサイクル増粘剤ECOHANCE® Remo XP」、日油「植物由来のエモリエント剤BIOLEAM®シリーズ」、樋口商会の「アボカド油の精製中に廃棄されるペースト油を特許技術で、シリコーン代替品にアップサイクル SENSOL100®」、同技術部門でアシュランド・ジャパンの「新鮮な生きた植物から溶媒を使わずに多機能成分を抽出するzeta fraction™抽出技術によるカモミールエキス」、dsm-firmenichの「『ETERWELLTM YOUTH』セノリティック科学を応用したウェルエイジングのための解決策。」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパンの「HARMONIE NatuVel gel」がそれぞれ受賞した。

今回のCITE JAPAN 2025は、当初はメインホールのみで開催する予定だったが、出展者募集をかけるとすぐに埋まってしまい、急遽、ノースに拡張しての開催となった。CITE JAPANに対する期待が高いことを示しており、今後も日本の技術を発信する重要な役割を担っていくことになろう。

なお、次回は27年5月19〜21日に、同じくパシフィコ横浜において開催予定だ。

月刊『国際商業』2025年07月号掲載