ちふれホールディングスは、2025年3月26~29日に開催された、「くすり」に関係する研究者や技術者が、学術上の情報交換を行い、学術文化の発展を目的とする学術団体「日本薬学会」が年に一度主催する学術大会である日本薬学会第145年会において、研究成果を発表した。
発表タイトルは、和文名は「グリチルリチン酸ジカリウムとヘパリン類似物質の併用による炎症抑制および表皮バリア機能向上に関する効果の検証」、英文名は「Evaluation of anti-inflammatory and epidermal barrier-enhancing of dipotassium glycyrrhizate and heparinoid combination.」。
紫外線や乾燥、肌に残留した界面活性剤などの日常生活における外部刺激は、炎症や皮膚のバリア機能低下など、肌状態に悪影響を及ぼす。そのため、肌状態を正常に維持する目的で、スキンケアの際に肌へ薬理的に作用する成分を効果的に活用することが有用だ。グリチルリチン酸ジカリウムは、消炎作用や抗アレルギー作用があり、また、ヘパリン類似物質は保水力が高く、両成分とも医薬品の有効成分としても使用されている。
本研究では、洗浄剤にも含まれることが多いラウリル硫酸Na刺激により誘発された炎症及び、皮膚バリア機能維持(タイトジャンクション形成)の両方に対し、グリチルリチン酸ジカリウムとヘパリン類似物質を併用することで、各々単独より有効な効果が得られるのかを検証することを目的としている。
本研究で対象とした素材のグリチルリチン酸ジカリウムは、基原植物がマメ科の甘草(カンゾウ)。抗炎症、肌あれ防止の効果・効能がある。ヘパリン類似物質は、保水性があり、高い保湿力が期待できる。皮膚内の水分を保つことで肌のバリア機能を高める。効果・効能は保湿、抗炎症、血行促進。
研究の結果として、炎症関連因子発現抑制が確認できた。ラウリル硫酸Na刺激により増加した炎症関連遺伝子の発現は、ヘパリン類似物質の添加により減少した。この効果は、グリチルリチン酸ジカリウムを併用することでより強まった。
また、バリア関連因子の細胞間での発現増加も確認できた。グリチルリチン酸ジカリウムとヘパリン類似物質を併用した方が、各々単独で添加した場合よりも細胞間に局在化したタイトジャンクションバリア構成タンパク質の増加が認められた。
本研究により、刺激に対し肌状態を正常に維持するために、グリチルリチン酸ジカリウムとヘパリン類似物質の併用が各々単独で使用するよりも効果的であることが示された。
同社は本研究成果を応用したスキンケア化粧品を既に開発・製造・販売しているが、今後もお客のニーズに応えるべく、研究を重ね、新たな商品の開発に向けて取り組んでいくとしている。