佐藤久美子(さとう・くみこ)
1996年から化粧品輸入ビジネスに従事。「スイスライン」「ユイルエボーム」といったブランドを日本市場に導入。エコサート認証コスメとの出会いをきっかけにオーガニックコスメのセレクトショップ「オーガニックマーケット」をオープン。1999年よりSLJ代表取締役。

製品・ブランドの思いを伝える見た目の大切さ

春の訪れを楽しみに待ちたいのに、穏やかでいられないのは2025年1月20日に米国大統領に就任したトランプ氏の動向のせいだ。グリーンランドを購入する、カナダを51番目の州扱いにする、ガザ地区紛争に至っては米国管理の下、リゾート地にする、ロシアのウクライナ侵略は半年で終結させる等々、次々と“奇想天外”とあえて言いたい豪語が続き、つい先日には米国政府機関での紙製ストローの購入を廃止した。パリ協定脱退など、環境対応における世界の潮流に逆行するような姿勢も目立ち、とても心配だ。そんな折、米国の取引先から、プラスチック素材のシュリンクが省かれている製品がいきなり届いた。仕様変更の事前通達無しに、だ。脱プラスチックは理解できるのだが、バージン性を担保するシュリンクそのものを無くすというのは別問題、違う素材で補完するのがメーカーの責任ではないのか、と鼻息が荒くなった。むき出しの容器そのままの商品を商流に乗せるわけにはいかず、それなりの包装を新たに施して出荷したのだが、どうにもふに落ちず、すっきりしない。

しかしながら、クリーンビューティーでは環境保護、サステナビリティは、業界標準になりつつある。コンポスト(堆肥化)可能な紙、トウモロコシ由来のシュリンク素材、リサイクル可能な容器等々、廃棄物ゼロ化が重視されて、その進化は目覚ましい。ナチュラル、オーガニック、ビーガンコスメに限らず、華美なパッケージは全体的に減ってきている。個装箱や内箱はできるだけ小さく軽量化し、輸送時におけるCO₂削減を図っている。“不必要な”プラスチック包装を削減する動きが欧米に浸透しているのを実感する。早くからレジ袋が有料化されエコバッグ持参が習慣化していることや、残っている贈り物へのラッピング文化を見ても、プラスチック素材は全く見かけない。

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