アリナミン製薬は、睡眠研究の世界的権威である筑波大学の柳沢正史教授が代表を務める株式会社S’UIMIN(スイミン、東京・渋谷)と「疲れと睡眠の関係、及び抗疲労成分の効果」に関する共同研究プロジェクトを2024年9月から開始している。

今回、アリナミン製薬と共同で研究するのは疲労と睡眠の関係の解明。疲れと睡眠はともに、メカニズムが不明で、睡眠は「現在の精神科学最大のブラックボックス」と呼ばれるほど、研究が必要な領域だ。アリナミン製薬は、「明日の元気を変えていく」というコーポレートメッセージのもと、睡眠と関係が深いと考えられる「疲れ」やアリナミン製品に配合している「抗疲労成分フルスルチアミン」の作用メカニズムに関する研究を進めてきた。これまでに、フルスルチアミン投与後の脳への移行性や脳内で神経伝達物質ドーパミンの放出が高まることが明らかになっている。生活者へのインタビューを通じ、「疲れると眠くなる」という現象がある一方、過労による「疲れすぎると眠れない」という声があることに着目。睡眠の質を高めるには、ほど良い疲労感をセルフケアする「疲労マネジメント」が重要なキーになると考え、スイミン社と共同研究することで、そのメカニズムの解明に挑むことになる。

スイミン社は装着性の良い脳波測定ウエアラブルデバイスとAIを駆使した自動解析による睡眠測定サービスを提供している。この脳波測定デバイスを使用して行う「疲れと睡眠」のメカニズム解明に向けた研究期間は3年間を予定。第1弾として24年度は「さまざまな運動負荷の違いによる身体疲労が、夜間の睡眠にどう影響するか」を課題に研究を実施。運動には有酸素運動やレジスタント運動といった種類があり、運動の強度や時間帯も睡眠に影響を及ぼす可能性がある。被験者に各種運動を行ってもらい、疲労指標や睡眠指標を解明する予定だ。その後、第2段階として、疲れによって睡眠の質が低下してしまう場合に、抗疲労成分フルスルチアミンがどのような効果を発揮するか、そのメカニズムを詳細に検証していく。

9月3日の共同研究発表会に出席したのはアリナミン製薬森澤篤代表取締役社長、同西窪栄治常務執行役員プロダクト戦略本部長、スイミン社の柳沢正史代表取締役社長の3名。それぞれ次のようにコメントを述べた。

「まだ疲れと睡眠の関係のメカニズムは解明されていないと聞いています。弊社のもつ疲れ研究の知見と、スイミン社のもつ睡眠の知見により、メカニズム解明が進むことを強く期待しています」(森澤社長)

「共同研究で疲れと睡眠の関係について深掘りすることで、もしかしたらフルスルチアミンが疲れを軽減したり、睡眠の質を上げたりするのに役立つのではないか。そういう壮大な夢を掲げながら、3年計画でじっくりと腰を据えて長いスパンで、研究に取り組んでいきたい」(西窪常務)

「実は疲れるとなぜ眠くなるのか、その時に脳の中で何が起こっているのかよく分かっていないのが実情です。今回、長年疲れ研究に挑まれてこられたアリナミン製薬と一緒に『疲れと睡眠』について研究できることになりとても楽しみにしています。今回の研究で疲労と睡眠の関係が解明されることで、多くの方が悩まれる睡眠問題の解決に寄与できればと思っています」(柳沢社長)

月刊『国際商業』2024年11月号掲載