大正製薬ホールディングスは11月24日、大手門株式会社(社長:上原茂)による公開買い付け(TOB)を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)を実施することを明らかにした。買い付け価格は1株8620円、総額7000億円超となる。これにより大正製薬HDは上場廃止となる見通し。これに伴って下期の配当も無配に修正した。

説明資料では、MBOの理由について以下のように説明している。

当社グループを取り巻く医薬品・ヘルスケアビジネス市場は、個人の生活観・価値観の変化やデジタル化の進展、高齢長寿化に伴う社会保障費、特に医療費の増加問題等の社会・経済環境の変化の中で、大きな変革期を迎えており、当社の社会的な役割は今後益々大きくなってくることが見込まれております。また、当社は、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、ネット販売等の生活者への直接販売の浸透等、情報の伝達やモノの流通経路が大きく変化し、そのスピードが著しく上がってきていると認識しております。加えて、当社は、海外OTC医薬品市場について、特にアジア市場は人口増や経済成長を背景に著しい成長を遂げているためビジネスチャンスは相応にあるものと考えております。そして、海外市場における更なるシェア拡大に向けては消費者ニーズを把握した上で製品を提供していくことが重要であると認識しております。 このような状況下において、当社グループの医薬事業は、薬価制度改革や医療の個別化に伴う開発難易度上昇等の厳しい事業環境の中、中長期的な目線での経営の舵取りが求められております。
これらの状況を踏まえ、当社グループが既存の各事業をこれまで同様に発展させていくだけでは当社グループの持続的な成長を実現していくことは困難であると考えており、具体的には以下の施策を実行することで、当社グループの更なる企業価値向上を実現することが可能であると考えているとのことです。

(ⅰ)セルフメディケーション事業における営業体制の抜本的な見直し及び自社ECサイトの拡大
(ⅱ)高品質な製品の安定的かつ長期的な製造に向けた生産管理への梃入れ
(ⅲ)海外事業における、製品ポートフォリオの拡大及び事業の拡大に向けた投資
(ⅳ)医薬事業におけるオープンイノベーション、バイオベンチャーや製薬企業との技術提携等を通じた新薬開発
(v)採用方針や報酬制度等を含む人事制度の抜本的見直し