化粧品メーカーは、女性社員の比率が高い。本社の商品開発や販促の担当者は、顧客である女性の気持ちを汲み取れる女性社員が圧倒的に多い。一方、店頭を見ると、制度品メーカーを中心に美容部員を多数抱えており、こちらも女性が大半を占める。にもかかわらず、女性活躍の推進は、他業界と同じようなペースで進んでいる。政府が発表する指針に対応するばかりで、先手を打って改革に挑む機運は少なかったように映る。依然として昭和から続く男社会の名残はあり、それが女性社員の悩みを生むきっかけになる。化粧品業界で働く女性たちに、流行りの働き方改革への本音を聞いた。
キャリアの築き方は多様になってきた
A 私は40代後半で、子どもが二人います。高校生と中学生ですから、勉強と部活に忙しくて、子育てはほぼ終盤戦ですね。私のキャリアは外資系メーカーで始まったんですが、上司に妊娠を伝えると、「いつまで働けるの?」と返されるのが定番だったんです。リモートワークが導入され始めた頃だったので、私は出産を理由に辞めませんでした。でも、そこからは大変。臨月を迎えて入院してもパソコンと携帯電話を手放さず、産んだ数時間後には在庫調整をしていました。夫も帰宅時間が遅く、子育てはワンオペ状態。毎日、寝かしつけをしてから仕事をするから、徹夜も多かったです。外資系だけではなく、制度品メーカーなどの日本企業の方々と現場で交流しましたが、化粧品業界は女性がたくさん働いていたとはいえ、決して女性にやさしい環境ではありませんでしたね。
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