花王は、主力のスキンケアブランド「SOFINA(ソフィーナ)iP」を2023年秋に総合皮膚科学スキンケアブランドとしてリブランディング。「素肌に、科学をインストールする。」をブランドのスローガンに掲げ、花王の先端皮膚科学研究に基づいたスキンケアアイテムの拡充で多くの生活者の肌に寄り添っていく。

リブランディングにあたり原点である皮膚科学、角層細胞から着想したブランドロゴに刷新。ブランドカラーはサイエンスを象徴するクリーンなホワイト、肌のうちに秘めたパワーを表すエネジェティックなイエロー、生命の源、青く澄んだ海から着想を得たソフィーナのグリーンを融合し、リブランディングで目指す原点回帰と、新たらしいこれからの時代に向けての提案力を強く表現していく。

パッケージデザインでこだわったのは外箱への工夫だ。お客が自身で正しく確かな解答にたどり着き、自身で決定できるようサポートするためにパッケージ正面で商品を正しく理解できるようお客が手に取るきっかけになる情報を配している。

製品面では、最新の皮膚科学を取り入れた、ブランド初となる化粧液「ソフィーナiP 角層トリートメント 基礎化粧液」(160ミリリットル、レフィル150ミリリットル)を11月4日に新発売するとともに、象徴アイテムである「ソフィーナiP ベースケア セラム〈土台美容液〉」(本体90グラム、レフィル90グラム/180グラム)をリニューアルする。

「角層トリートメント 基礎化粧液」は、乾燥しがちな環境でも一日中うるおいが続き、しっとりやわらかな肌に導く化粧液。独自技術の活用で世界初の成分アプローチ(セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド、コハク酸ジグリコールグアニジン、アミジノプロリン、メチルセリンの組み合わせ)を採用。化粧液が角層細胞まで浸透して水分保持機能の働きを補い、肌にうるおいを与え、保つ。

「ベースケア セラム〈土台美容液〉」は、洗顔後、手入れのファーストステップとして使う、うるおいで肌をやわらかくほぐす、高濃度炭酸の泡の美容液。毛穴の約20分の1サイズの炭酸泡の美容液が、角層最深部まで浸透する。今回のリニューアルでは、新たに保湿成分高麗人参エキスを配合。さらに肌なじみのよい感触に仕立てた。

リブランディングに先駆け、8月22日にメディア向けの発表会を開催した。

発表会は二部構成。第一部ではリブランディングに際し採用している先端皮膚科学研究に関する研究発表会、第二部での製品発表会では新製品およびリニューアル品の製品概要及びコミュニケーションについて伝えた。

研究発表では、「肌不調を改善に導く高濃度炭酸泡の製剤進化」のテーマで花王スキンケア研究所の細川勝上席研究員が同社の炭酸ガス研究の歴史を紹介した。1970年代より開始した炭酸ガス研究は、80年代には育毛剤に転用。2002年には化粧品への応用研究を開始している。そして12年には炭酸ガスのマイクロバブル化に成功。血流促進や角質正常化など、多様な肌実感が期待できる知見が蓄積し、23年には真皮弾性成分の産生促進といった新知見も得ている。細川上席研究員は、「炭酸をいかに肌に届けるか、もっと炭酸を肌に届けたいとの思いのもと研究を深耕していく」と語った。

また、「肌に学ぶ 角層トリートメント技術~真にうるおいつづける角層細胞へ~」のテーマでスキンケア研究所の片山靖上席主任研究員、解析科学研究所の内藤智上席主任研究員が登壇。角層に対する花王のアプローチから生まれた独自の角層トリートメント処方を紹介。肌のうるおいにとって必要なケラチン保水とセラミド保湿を化粧水で初めて実現。そもそもセラミドは融点が100℃と高く、水にも油にも溶けにくいこともあり、みずみずしいテクスチャーの剤型への配合が難しいとされている。それを解決したのが花王独自のマイクロ流体化技術。セラミドを微細化、非結晶化することで透明な液体にすることを可能にしたことで、セラミド機能成分の化粧液への配合が実現した。

こうした新たな技術を確立した一方で、同技術を活用することで「本当に細胞レベルでうるおいのある肌に導いているのか確かめたいといった思いも湧き上がってきた」(片山上席主任研究員)。この積年の思いを具現化したのが今回開発した新技術だ。具体的には、微小な領域の赤外線吸収スペクトルを測定し、タンパク質や脂質、アミノ酸などの物質の分布情報を取得する顕微ATR-IRイメージング法を用い、肌の角層を解析した結果、角層細胞ひとつひとつのうるおい状態を画像として捉えることに成功。さらに、角層細胞のうるおい状態を数値化し、定量的に比較することが可能になった。これにより、角層細胞そのもののうるおい状態の経時的変化や、異なる製剤間でのうるおい状態の違いがわかるようになったのだ。花王では、今後、角層細胞のうるおい状態を解析する新たな技術として、化粧品の開発に応用していく考えだ。

第二部では、花王化粧品事業部門マステージビジネスグループの小林恵美グループ長がリブランディングに際し、「美と個性に寄り添うことはもちろんソフィーナならではの確かなサイエンスに焦点を当て、ソフィーナのスキンケアらしいとがりをしっかり出していく」と意気込みを語った。

月刊『国際商業』2023年10月号掲載