ライオンは、高い洗浄・消臭力と衣類の色を保つ機能を両立させた唯一の洗剤、高濃度コンプリートジェル「NANOX one(ナノックス ワン)」を9月20日から全国で発売する。これまでの常識を覆す性能進化と、完全透明ボトルに色鮮やかな液体を入れた視覚的インパクトにこだわったパッケージデザインで、液体洗剤の高付加価値化を図る。現行の「トップ NANOX」は「NANOX one」として生まれ変わる。
新製品の発売に先立ち、7月13日に経営戦略・新製品発表会を東京国際フォーラムで開催した。同社は経営戦略として、日常の気の進まない些事を前向きな習慣に変える「Positive Habits」を提案している。「NANOX one」は、「Positive Habits」の第2弾となる大型商品だ。
ライオンの竹森征之社長は、「『Positive Habits』を国内そしてアジアに届け、習慣づくりが最も上手い会社を目指したい。今回発売する『NANOX one』は、日用品の中で最大規模を誇る衣料用洗剤市場に仕掛けるとともに、新技術を搭載し、新『NANOX』として全面改良した、ライオン最大のアクションだ」と強い意気込みを示した。
ライオンヘルス&ホームケア事業本部ファブリックケア事業部の横手弘宣部長は、衣類を長く着続けられるようにする「衣類のロングライフ化」を目指すとした上で、衣料用洗剤の市場動向を説明した。衣料用洗剤の市場規模は2022年も2279億円と拡大基調にあり、市場をけん引しているのは、液体タブレットタイプと「NANOX」が属する液体高濃度タイプである。これらの付加価値製品は市場の約4割まで拡大している。
液体高濃度タイプは、従来通り計量して好みの量を入れる洗剤の入れ方で、発売から約3年で普及の閾値であるシェア2割を超えた。一方、直接投入するタブレットタイプは、新しい洗剤の入れ方を提案し、簡便性は高いものの、約8年を経てもシェアが2割を超えていない。両者には生活者に浸透する速度に違いがみられた。
さらに洗濯物の量に適した量の液体洗剤を自動で投入する自動投入洗濯機の市場は年々伸長。洗濯洗剤の購入者数の構成比をみても、約8割が液体洗剤である。「液体洗剤こそ、ニーズが高まる主要領域である。液体洗剤の高付加価値化を図りたい」(横手部長)。
また、ライオンは未充足ニーズにも着目した。約8割の生活者が衣類をできるだけきれいに長く使いたいと考えているものの、約6割の衣類が廃棄されている現状がある。廃棄の主な理由は、黄ばみ・黒ずみ、色あせが気になるからだ。ただ、これまでは、汚れを落とす洗浄力と衣類の色を保つ機能はトレードオフの関係とされてきた。しかし、ライオンはこの課題に挑戦。これまでできなかった高い洗浄・消臭力と衣類の色を保つ機能を両立させた「NANOX one」の開発に成功した。
ラインアップは、「スタンダード」「ニオイ専用」「PRO」の3種類。完全に透明なボトルに色鮮やかな液体が入っていることも特徴だ。「PRO」は、「NANOX」シリーズで最多機能を搭載したワンランク上のラインで、ライオン史上最高峰の究極洗剤としてアピールする。価格は従来品の1~2割引き上げる。
発表会では、南海キャンディーズの山崎静代とアインシュタインの稲田直樹、河井ゆずるが登壇。洗濯やファッションについてトークを展開した後、ライオンの研究員とともに、従来品と「NANOX one」の比較実験を実演。「汚れが落ちているのに、色落ちもしていない。今までなかった画期的な技術にびっくりした!」(山崎)と、「NANOX one」の高性能に驚嘆していた。
月刊『国際商業』2023年09月号掲載