ポーラは6月1日、広島県福山市の化粧品専門店「LOOKさんすて福山店」にカウンターを導入する。同社にとって化粧品専門店との取引は初の試みだ。

これまで国内におけるリアルの顧客接点は、訪販が原点で主力のTB事業が展開するビューティーディレクター、コスメ&エステショップ「ポーラザビューティー」(約510店舗)、旗艦店「ポーラギンザ」、PS事業が展開する百貨店(82店)であった(国内空港免税店コーナーは12店)。新たに化粧品専門店との取引に踏み切ったのは、日本の生活者の価値観が多様化し、ライフスタイルも多種多彩になり、当然、購買行動も細分化しているから。しかも、その変化はコロナを機に加速。新たにリアルの顧客接点を拡充することで、顧客体験の向上を図るのだろう。

ポーラが「LOOKさんすて福山店」に導入するカウンター(イメージ画像)

ポーラが「LOOKさんすて福山店」に導入するカウンター(イメージ画像)

特にOMO戦略は加速するだろう。ポーラは創業時から「最上のものを一人ひとりにあったお手入れとともに直接お手渡ししたい」という強い思いを掲げ、お客一人ひとりに適したホリスティックケアを提供し続けている。20年初頭に始まったコロナ下では、生活者の変化を含む事業環境の激変に合わせ、OMO戦略を強化。その成果として、ECを通じた新規客の獲得は右肩上がりに伸びている。今回、化粧品専門店チャネルに進出することで、オンラインでつながったお客に提供できるリアル接点の選択肢が増え、OMO戦略はさらに進化するに違いない。

とはいえ、有力な化粧品専門店は全国各地に存在する。その中からLOOKを選んだのは、製販ともに「顧客第一主義」を掲げ、それを実践し、結果を残している実績があるからではないか。LOOK(運営企業は株式会社ルック)の基本方針は「化粧品・ファッション小物の販売を通じて、人々の美しく、楽しく、幸せな生活文化の向上に寄与し、地域社会に貢献し、地域になくてはならない存在としての信頼を得るよう最大の努力を払う」である。これを長年にわたり実践することで、日本有数の売上規模を誇る化粧品専門店に成長した。この実績に創業時から顧客起点で事業を展開するポーラが共感。今回の出店は、とんとん拍子に決まったという。

「LOOKさんすて福山店」のポーラカウンターは、厳選した「黒」とステンレスの硬質なアクセントで、感性を刺激する空間になっている。気になるアイテムを自由に試せるセルフゾーンとカウンセリングを行うカウンターゾーンに分けることで、老若男女を問わず来店する「LOOKさんすて福山店」の顧客ニーズに寄り添う考えだ。

ポーラとLOOKのコラボテーションは、化粧品専門店チャネルはもちろん、国内化粧品市場に新風をもたらすに違いない。