中国: エイジングケア

1980年代生まれの消費者が40代に突入し始め、それより若い世代の消費者の肌のエイジングケア意識も高まってきていることから、中国のエイジングケア市場の成長は堅調な推移を見せています。実際、中国で最もニーズが高い効能がエイジングケアであることがわかりました。

エイジングを防ぐ方法を画策する若い世代

若い世代の消費者は、歳を重ねたユーザーと比べて、エイジングケアに対し異なる価値観を持っています。彼らは美白効果、肌全体のトーンの均一化、バリア機能の修復といったポイントに重きを置いています。

つまり、美しく歳を重ねたいというよりも、老化に抗いたいと考えているより若い世代には、肌のトーンとバリア機能の効果を中心にコミュニケーションを取ることが重要でしょう。

製品使用の年齢の違いが次の成長性を予感させる

日焼け止め効果はエイジングケア商品に追加される機能として最もよく利用されています。これは、日焼けから肌を守ることがエイジング対策のひとつとして広く認識されていることが起因していると見られます。現在、スキンケアで最も浸透しているエイジングケア製品は日焼け止めです。これは、日やけ止めが、エイジングケアを明確にうたっていなくても、その紫外線防御効果により、すでにエイジングケアのサブカテゴリーとして認識されているためと考えられます。

エイジングケア商品のコアユーザーは30歳から39歳までの年齢層です。40代に突入すると、消費者の動きは鈍りを見せ、その利用率は18歳から24歳よりも低いものとなっています。だからこそ、40代以降と18歳から24歳までの層は、成長の可能性を秘めているのです。中国の人口推移を見てみると、1980年代生まれの人口は2億2800万人、そしてこの年代の消費者の年齢が40代に突入し始め、大人のスキンケアから、美しく歳を重ねていくためのスキンケアに移行していくでしょう。

消費者に新たな経験を提案する

特にアンチエイジングのスキンケアにおいて、効能を最大化するために近年、使い切り美容液やフリーズドライ、使う直前に混ぜるといった興味深い特徴を持った製品が多く登場しています。

ブランドは、こうした新たな体験はもちろんのこと、パッケージングにも気を配ることが重要です。ブランドにとって、新しいテクスチャーやパッケージといったフォーマットは、製品のコンセプトの重要な一部であると同時に、消費者のブランドスイッチを促進する手段でもあります。また、これらの新しいフォーマットは、単価が高く、一定期間内に使い切らなければならないため(例えば、使い切りタイプの美容液は1日、フレッシュミックスは混ぜてから1ヶ月)、消費を促進することができます。

韓国: マイクロバイオームコンセプトが台頭

韓国のスキンケア市場でもまた、エイジングケアが主流となっています。最近、スキンケア分野のエイジングケアにおいて、プレ/プロ/ポストバイオティクスのを訴求する製品が増加しており、これは皮膚のバリア機能の強化や正常化に大きく関連しています。したがって、マイクロバイオーム技術は同市場で今後成長することが予想されるのです。

注目すべきは、パンデミック中に、エイジングケアの美容機器を使った家庭内美容のトレンドが拡大していることです。韓国人のエイジングケア習慣の一環として、美容機器市場は今後も盛んになる見込みです。

欧州・中東・アフリカ: 更年期障害、DIY・家庭用、バイオテック

欧州、中東、アフリカでは特に更年期を中心としたホルモンの変化に対応した製品が増えてきており、幅広い年齢層にアピールする上で非常に興味深いことです。こうした製品のブランドはすでに更年期の女性を積極的にターゲットとしていますが、更年期以降の女性を対象とした商品は、このエンゲージメントを拡大させる機会があると言えます。

フェイシャル・スキンケアカテゴリーの競争が激化する中、このようなイノベーションはブランドを際立たせるだけでなく、これまで十分なサービスを受けていなかった顧客層に対応することで、より強いブランドロイヤルティを生み出すことができます。

また、パンデミックにより、家庭でより高度なお手入れができる美容機器が広まったため、多くの消費者の中でDIY美容のトレンドが取り入れられています。例えば、英国では特にマイクロニードルが存在感を増しています。

サステナビリティは、欧州のスキンケア市場全般に影響を与えているテーマであり、エコやエシカルをうたった商品も普及しています(BPC全体にも見られることです)。BPCブランドの中には、バイオテクノロジーを活用してサステナビリティの約束を果たし、安全性と有効性の基準も満たせるようにする企業が増えています。

米国: ホリスティック、ウェルネス重視のアプローチにシフト

米国では、パンデミックにより、消費者がエイジングケアのためのスキンケア製品に求めるものが大きく変化しています。しかし、人々が社会活動を再開し、オフィスに戻るにつれて、肌の見た目に関する悩みは再び注目されるようになるでしょう。

とはいえ、いくつかの明確な変化が待ち受けています。エイジングケアに対して、よりホリスティック(包括的)でウェルネスに重点を置いたアプローチをとる傾向が加速するでしょう。これは、プロエイジングの訴求と同時に肌の健康をターゲットにするブランドにとって機会を創出し、エイジングケアの訴求がフェイシャルスキンケアからボディケアに拡大することになるでしょう。

 

消費者が「何を」「なぜ」求めているかを探るエキスパート

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ミンテルは、消費者が「何を」「なぜ」求めているかを探るエキスパートだ。マーケットインテリジェンスのリーディングカンパニーとして、世界と国内の市場に関する独自の視点を提供する消費者/市場/新商品/競合他社の分析を行い、市場の将来的な展望について必要な情報を多角的に提供している。1972年の会社設立以降、長年の蓄積に基づいた独自の視点で、クライアントのより迅速な経営決断を可能にする予測分析と専門家のレコメンデーションを提供。ミンテルの使命は、ビジネスと人々の成長をサポートすることである。

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月刊『国際商業』2023年03月号掲載