日本OTC医薬品協会は、2022年度プレスセミナー「セルメ税制5年間の総括と今後に向けて」を9月5日に開催。2016年からセルフメディケーションに関する生活者調査を実施しているが、その8回目となる22年3月の調査の結果を公表した。
調査結果では、税制の利用意向が全体で20.7%と前年比8.5ポイント上昇。20~60代の男女前世代別でも前年から10ポイント前後高まっていることが示された。今年1月より、スイッチOTCに加えて、非スイッチOTC(かぜ、アレルギーなど3症状群)にも範囲が拡大したことが追い風となったと推測される。
その一方で、21年分の確定申告の中で、医療費控除利用者742万9000人のうち、セルメディ税制利用者はわずか2万8000人、率にしてわずか0.4%と依然として利用率は低いことも判明。このギャップをどう埋めるかが引き続きの課題となる。
セミナーでは、聖路加国際大学大学院看護学研究科看護情報分野の米倉佑貴氏が「ヘルスリテラシーとセルフメディケーション税制の利用」のテーマで講演。健康にかかわる感度の高低を示すヘルスリテラシーが低いと「保健サービスの不適切な利用 or 不使用」「薬を適切に使用できない」「健康状態が悪い」といった問題が多い一方で、ヘルスリテラシーが高いほどセルフメディケーション税制に関する理解度が高いことが判明した。
ただ、ヘルスリテラシーとセルメ税制利用に有意な関連性はなかったことが示され、税制の要件を満たすのが難しいこと、利用によるメリットに比べ手続きが煩雑で利用に至らないといったことが推察された。
月刊『国際商業』2022年11月号掲載