「リン脂質素材」
日本精化香粧品事業本部では、「リン脂質素材」「機能性油剤」「生理活性物質」を2022年の主力原料の三本柱に据える。中でも前面に打ち出すのが天然由来の「リン脂質素材」を活用した、天然乳化基剤の「Phytocompo™(フィトコンポ)」シリーズ、天然リポソーム基剤の「Phytopresome™(フィトプレソーム)」シリーズの2シリーズ。その提案を強化し、「リン脂質と言えば日本精化」という認知の浸透を図る考えだ。
「Phytocompo™」シリーズは、水添レシチンとステロールとを独自製法にて複合化した天然乳化剤で、皮膚細胞間脂質類似成分で構成し、安全性の高い製品開発に貢献が可能だ。また、配合する油剤を選ぶことなく乳化できるのも同素材の特徴となっている。例えばシリコーンを配合する際には、一般的な乳化剤だとシリコーンと油剤をつなぐ添加剤が必要になるが、「Phytocompo™」シリーズであればそれが不要。シンプルな処方が可能となり、肌への低刺激性といった観点からも優れた製品開発につなげることができる。さらに、他の一般的な乳化剤と比べて肌なじみが圧倒的に優れているため、テクスチャーの良い乳液、保湿クリーム、あるいは粉体のきしみを緩和するサンスクリーン剤の調製が可能だ。
一方の「Phytopresome™」シリーズは、リポソーム形成に適した組成で植物性ステロール「フィトステロール」と「水添レシチン」を組み合わせた複合体。セラミドなどの難溶性成分を分子レベルで混合する独自技術を活用することで、煩雑な操作なしで調整が可能。粒子を微細化することで、安定性が高く、細胞膜に高い親和性があるため有効成分の浸透量が向上する。
両シリーズとも、リン脂質そのものが持つ保湿効果に加え、生体類似物質であることから肌なじみが非常によく、優れた使用感を演出するため、官能特性と保湿等有用性を兼ねており、生体内に浸透しようとする作用が働く。このことから、保湿性と浸透性の高さの両方を備えた高機能製品の開発につながる。
もう一つ、日本精化のリン脂質素材を採用するメリットは、多様なバリエーションをそろえていることだ。「Phytocompo™」「Phytopresome™」ともに独自製法にてセラミド、アスタキサンチン、コエンザイムQ10等の難溶性成分を複合化した製品を多種用意する。これら既存の複合体を生かすことで、煩雑なプロセスをカットした処方組みの支援が可能。また、ポリオールに分散することで、より簡便な設備で扱える製品も用意した。これら既存の複合体を生かすことで、煩雑なプロセスをカットした処方組みの支援が可能。ある程度最終製品の理想に近い地点から製品開発をスタートすることができるため、発売に至るまでの時間短縮にもつながる。
さらに、既存の複合体の提供だけではなく、顧客が希望する成分の複合化が可能かどうかの検討にも多くの知見をもって対応する。成熟市場である日本の化粧品業界においては、差別化に直結する製品を求める小売業が増えている。既存の原料を軸にした製品開発のみならず、取引先のニーズに寄り添ったモノづくりの提案ができるのも日本精化の強みと言っていいだろう。そうした意識が浸透した営業担当とのコミュニケーションを重ねることで新たな気づきや価値提案のヒントにつながる可能性は高まる。課題に直面しているメーカーにとって頼もしい味方になってくれるはずだ。