ファンケルは、以前からサプリメントに配合されている成分の吸収性や持続性など、体内で効率的に働くための製剤開発として「体内効率設計」に関する研究を進めてきた。その中で、カロテノイドの一種で高い抗酸化作用を持つ「アスタキサンチン」を含むサプリメントの研究において、同社独自の自己乳化製法のサプリメントが一般的な製法と比較して、血中カロテノイドの吸収性を改善することを臨床試験で実証した。

カロテノイドは水に溶けにくい脂溶性であることから、そのまま摂取しても吸収性が低いことが知られている。また、この研究成果は「薬理と治療」(Vol.48, No.1, 2020)に論文として掲載され、また、2021年6月に開催された「第21回日本抗加齢医学会総会」にて発表した。

健康な20歳以上50歳未満の日本人男女87人を対象とした試験を実施。試験は、自己乳化製法の「アスタキサンチン」含有サプリメントを摂取するグループ(以下、被験食品群)と、一般的な製法の「アスタキサンチン」含有サプリメントを摂取するグループ(以下、対照食品群)の2グループにランダムに分け、それぞれ3週間連続で各サプリメントを摂取後、血中「アスタキサンチン」濃度の変化を比較した。なお、試験では公正を期すために、先入観や意図的な操作ができない二重盲検法で行った。

その結果、被験食品群は対照食品群と比較して、摂取1週間後および3週間後で血中アスタキサンチン濃度の変化が大きく上昇することが確認された。これより、同社独自の自己乳化製剤技術を用いたサプリメントは、血中カロテノイドの吸収性を改善することが分かった。

カロテノイドの一種である「アスタキサンチン」は高い抗酸化作用を有している。「アスタキサンチン」はピント調節力の維持による疲労感の軽減が報告されているが、カロテノイドは脂溶性であるため吸収性が低く、効率良く摂取するには吸収性を上げる必要があった。

そこで、同社ではカロテノイドの吸収性を上げる研究として、脂溶性成分が水に素早く乳化分散する独自の技術「自己乳化製法」を用いた「アスタキサンチン」含有のサプリメントを開発し、その吸収性について本臨床試験で確認した。

ファンケルでは、さまざまな機能性成分が体の中で効率的に働くための製剤設計技術「体内効率設計」に関する研究開発を進めており、自己乳化製法を含め多くの体内効率技術を製品に応用している。今後も体内効率を考え、効率良く機能成分を摂取できるサプリメントの開発を進めていく考えだ。