資生堂は8月26日、アメリカ地域本社で同社連結子会社のShiseido Americas Corporation(SAC)を通じ、プレステージメイクアップブランド「bareMinerals」「BUXOM」「Laura Mercier」の3ブランドを、プライベートエクイティファンドAdvent International Corporation(Advent)が出資する法人に関連資産(SACの子会社株式を含む)を譲渡することについて契約を締結したと発表した。
同件は、3ブランドに関連する資産(SACの100%子会社で、「bareMinerals」の日本での運営会社であるベアエッセンシャル〈ベア日本〉の全株式を含む)を譲渡する方法で、全ての関連事業をAdventに譲渡するというもの。 なお、フランスにおける同件譲渡については、同国の労働法に基づき、従業員代表への情報提供および協議を経た上で決定する。
3ブランド合計の2020年12月期売上高は448億円で、連結売上高の4.9%に相当する(ベア日本は0.1%未満)。SACからAdventグループに譲渡する関連資産には、対象ブランドに係る知的財産権や在庫およびSAC子会社株式が含まれる。21年3月31日時点でのこれらの関連資産の帳簿価額は約1億3300万ドル。
同件関連資産の譲渡対価は7億ドル。決済は、譲渡価額の一部3億5000万ドルについて現金で行い、残りはセラーノート(年限7年予定)により繰延決済予定だ。資生堂は上記資産譲渡に関連して、運転資本の調整と当初資金の拠出等で9000万ドルを譲渡先会社に拠出する。
なお、同件契約の締結が21年12月期の連結業績に与える影響は、現在精査中であるため、確定次第開示する。
資生堂グループは中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のもと、スキンビューティー領域をコア事業とするなど事業構造を転換しながら、抜本的な経営改革を実行し、2030年までにこの領域における世界ナンバーワンの企業になることを目指している。新型コロナウイルス感染症の影響など外部環境が急激に変化する中、21~23年の3年間は、収益性とキャッシュ・フローを重視し、“スキンビューティーカンパニー”としての基盤を盤石にするための取り組みを推進している。
同戦略を推進し、ブランドの優先順位付け、ポートフォリオの最適化、および競争優位性の強化を行う中で、10年に買収した「bareMinerals」「BUXOM」、16年に買収した「Laura Mercier」のメイクアップ3ブランドについては、従業員の雇用を優先事項としながら、外部への事業譲渡を選択することとなった。
そして、複数の候補企業について検討を進めた結果、消費財メーカーへのグローバルでの投資実績のある大手プライベートエクイティファンドAdventグループは、これら3ブランドへのマーケティング投資を強化でき、かつ事業拡大への高い専門性を生かして、グローバルな成長を実現できると判断し、今回の譲渡に合意するに至った。
資生堂は、同件譲渡により取得する資金を、スキンビューティー領域などの最重要ブランドの育成・買収、デジタルトランスフォーメーション、生産体制・イノベーション強化等に向けた投資に充当することでウィズコロナ・アフターコロナの経営基盤を強固なものとしながら、23年の完全復活に向けた成長を実現し、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指す。