高台にある賃貸マンションに住んでいる。ベランダから見える大きな桜の木は、せっかちなのか周りの仲間よりも開花が早い。今年も早々と満開になったが、春の嵐で瞬く間に散ってしまった。はやすぎる落花は残念だった。今回の特集では小売業が手がけるECを取り上げた。こちらもZOZO参入で、変化が速くなっている。各社の風土は多彩で、ソリューションを楽しむ姿勢が前面に出ていた。それは他者を巻き込む力を持っており、一気に成長するかもしれない、と私も感化された。化粧品業界は、いささか保守的な面がある。製販の関係が濃い歴史によるものだろうが、どんどん生活者の気持ちは変わっている。顧客視点のソリューションを楽しむ企業は、業界への忖度はなく、トライ&エラーへの抵抗感もない。桜の木が毎年咲くように、化粧品の需要が消えることはない。だが、EC台頭という大波に乗り遅れることは致命的な代償を払うことになりかねない。時代の変化は好機を生む。コロナ禍があったから変われた――。数年後、このようなコメントが取材で聞けることを期待したい。